VR発「モクリ」が仕掛ける知的財産の新潮流!二次創作を「二次制作」として公認する次世代のファン共創型IPビジネスとは?

大ヒットアニメを手掛けた著名なプロデューサーの福原慶匡氏が、2019年10月にVR発のキャラクター「モクリ」の統括プロデューサーに就任しました。このプロジェクトが目指すのは、従来の常識を覆す新しい知的財産(IP)ビジネスの形です。なんと原作のストーリーが存在しない状態からキャラクターを先行公開し、ファンと共にコンテンツを育てていくといいます。SNSでも「自分のアバターが公式の世界観に繋がるなんて夢がある」「新しい時代のクリエイティブ」と、期待に満ちた声が続々と寄せられています。

モクリは、誰もがバーチャル空間で身にまとえるアバターとして誕生しました。人気漫画家がデザインしたこの愛らしいキャラクターは無料で配布されており、一定のルールを守ればユーザーが自由に姿を改変して楽しむことも可能です。原作がないにもかかわらず、2018年から開催されているVR展示即売会「バーチャルマーケット」を通じてすでに多くの熱心なファンを獲得しています。2019年9月に開催されたファンイベントでは、思い思いのアレンジを施した何百体ものモクリがVR空間に集い、賑やかな交流が繰り広げられました。

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グレーゾーンからの脱却を目指す「二次制作」の挑戦

2019年11月からスタートしたクラウドファンディングでは、早くも400人以上の支援者から700万円を超える資金が集まっています。福原氏は、この支援者たちを最初のサポーターとして迎え、制作の裏側を公開しながらオンライン会議で意見を募るなど、プロセスそのものを共有しています。さらに注目すべきは、ファンによる改変や創作活動を「二次創作」という曖昧な表現ではなく、公式に許諾された「二次制作」と呼ぶ点です。これによって、ファンが作ったアイテムをECサイトで合法的に販売し、収益を還元できる仕組みを構築しようとしています。

従来のファン活動は、著作権の観点から「黙認」というグレーゾーンに置かれることが大半でした。熱心なファンほど公式の制約に悩まされるという不健全な現状に対して、福原氏は強い危機感を抱いています。スマートフォンやSNSの普及によって消費者が求める情報量が爆発的に増えた現代において、公式のコンテンツだけでファンを満足させ続けることには限界があるでしょう。世界観のなかにあえて「スキマ」や「余白」を残しておくことで、ユーザーが自由に想像を膨らませて遊び、語り合える空間を提供することが今の時代には必要不可欠です。

これからのアニメ産業とコミュニティの重要性

この壮大なプロジェクトを円滑に進めるため、権利関係は製作委員会方式をとらずに一括管理されています。これにより、ビジネスとクリエイティブの断絶を防ぎ、ファンが安心して楽しめる環境がワンストップで守られます。近年のアニメ産業は、海外配信の伸びが落ち着きを見せる一方で、ライブエンターテインメントや2.5次元舞台といった「体験型」の市場が大きな成長を見せています。毎年膨大な数の作品が制作され、激しい原作獲得競争が繰り広げられる現代だからこそ、作品そのものの完成度だけでなく、それを囲むコミュニティの熱量が成否を分けるのです。

ファンを単なる消費者として扱うのではなく、コンテンツを一緒に作り上げるパートナーとして歓迎するこの試みは、非常に挑戦的で今の時代に即しています。誰かが語り、拡散していくことで初めて「物語」は本物のヒットIPへと成長していきます。ユーザー発のハイクオリティな作品が、いずれ公式のサイドストーリーやボイス付きキャラクターとして逆輸入される未来も決して夢ではありません。バーチャル空間という無限の可能性を秘めたキャンバスの上で、ファンと公式が織りなす新しいテーマパークのパレードは、まだ始まったばかりです。

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