私たちが日常で何気なく目にしている企業のロゴマークですが、それを立体的な便利グッズとして生まれ変わらせたらどうなるでしょうか。そんな斬新な試みで世間を驚かせているのが、プロダクトデザイナーの大村卓さんです。大村さんは「企業のノベルティーを勝手に作る」というユニークなテーマを掲げ、2次元のロゴを3次元の立体へと変換する活動を続けています。普段は見過ごしがちなデザインに新しい命を吹き込むそのアプローチは、インターネット上でも大きな注目を集めているのです。
大村さんの活動が注目を集めるきっかけとなったのは、日常のふとした疑問や独自の仮説を形にする行動力でした。たとえば、ファイルの背表紙に描かれた四角いマークを見た大村さんは、これが「立方体の一部が見えている状態なのではないか」と考えたそうです。このユニークなひらめきをもとに、3Dプリンター(3次元のデジタルデータから立体物を造形する機器)を用いてサイコロ型のペーパーウエートを制作しました。この作品をSNSに投稿したところ、多くのユーザーから好意的な反響が得られたといいます。
さらに、コンピューターソフトウエア会社のロゴを衣服用のハンガーに見立てた作品を公開すると、その反響はさらに拡大しました。なんと1万5000件を超える「いいね!」を獲得し、その企業の担当者の目に留まって実際に面談する機会まで得られたそうです。このように、個人の自由なアイデア発信から公式なビジネスの繋がりが生まれる現象は、まさに現代のSNSカルチャーを象徴していると言えるでしょう。
視点を変えることで生まれる新しい価値と職人技の融合
大村さんは、大学や大学院で建築を学んだ後に設計事務所へ勤務していましたが、より小さな対象物に自分の創造性を活かしたいと考え、独立の道を歩み始めました。その卓越したセンスはロゴの立体化だけに留まりません。神社仏閣の装飾を手掛ける一流の木工職人とタッグを組み、伝統技術を応用した「木彫りのダンベル」を制作するなど、周囲を驚かせるプロジェクトを次々と成功させています。固定概念に囚われない柔軟な思考こそが、イノベーションを起こす鍵になるのだと実感させられます。
また、大村さんのオリジナル作品である「水に浮かべる一輪挿し」は、海外からも「クールだ」と絶賛されています。これは花瓶がなくても、水が入った容器があればどこでも花を飾ることができる生活雑貨で、水面をふわふわと漂う姿が人々の心を癒やしています。身の回りにあるものを観察し、少しだけ視点を変えることで、誰しもが新しい発見や発明に出会えるというメッセージが、これらの作品には込められているのではないでしょうか。
2020年01月15日時点でロゴを用いたグッズ製作を始めて2年が経ち、作品数が100個に達するのを機に、このシリーズは一度区切りをつける予定だそうです。しかし、大村さんのモノづくりに対する情熱が消えるわけではありません。自分らしい気づきやアイデアを形にして発信し続ける大村さんの挑戦は、これからも私たちに新鮮な驚きを与えてくれるはずです。
コメント