全国の携帯電話市場において、ある異例の事態が続いています。それは、沖縄県だけがNTTドコモのシェアが首位ではないという事実です。この強固な牙城を築いているのが、沖縄セルラー電話。通信大手KDDIの子会社でありながら、なぜこれほどまでに圧倒的な競争力を誇っているのでしょうか。2020年2月6日、湯浅英雄社長へのインタビューから、その独自の戦略を紐解いていきます。
沖縄セルラー電話の強さは、その出自に深く根ざしています。1990年に沖縄振興を目的に発足した「沖縄懇話会」が設立の母体となり、稲盛和夫氏(元KDDI会長)が発起人に名を連ねました。さらに、沖縄電力や沖縄銀行といった地元有力企業が出資に加わったことで、沖縄経済界全体に支えられた「オール沖縄」の体制が確立されたのです。
地元密着が生む圧倒的な顧客満足度
この地元企業との強固な結びつきが、今も最大の武器となっています。販売代理店を地元企業が担うだけでなく、沖縄電力との電気料金セット割引「auでんき」など、県民の生活に深く寄り添ったサービスを展開してきました。ユーザーからのSNSの反響でも、「地元企業という安心感がある」「サービスが生活に浸透していて離れられない」といった声が多く見受けられ、地域の期待に応え続けてきた結果といえるでしょう。
さらに、通信品質においても妥協はありません。地域の期待を背負っているという強い使命感が、つながりやすさと速さへの執念を生み、顧客満足度の高さに直結しています。個人的にも、ここまで明確に地域という枠組みを強みに転換している企業は珍しく、まさに戦略の勝利だと感じます。
「地元に全力」で挑む新たな挑戦
では、今後の成長戦略はどうなっているのでしょうか。湯浅社長は、単なる通信サービスにとどまらない「総合力」を強調しています。固定通信サービス「auひかりちゅら」や格安携帯事業、そしてモバイル決済サービス「auペイ」などを掛け合わせ、生活のあらゆる場面で同社のサービスが利用される仕組みを作っています。
特に注目すべきは、新規事業への意欲です。野菜工場や観光・通販サイトなど、地域貢献を目的とした事業の売上高を、将来的には100億円規模にまで拡大する目標を掲げています。既存の通信事業だけに頼らず、自前での事業開発を優先する姿勢は、地域経済を牽引するという強い意思の表れでしょう。
最後に、上場企業としての透明性や株主への配慮についても触れておきましょう。独立社外取締役を中心とした委員会の設置など、経営の健全性を担保しつつ、19期連続増配という驚異的な実績で株主の期待に応えています。県内の人口増加という環境も味方につけ、沖縄セルラー電話は今後も独自の進化を続けていくことになるでしょう。
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