福岡高裁が示した司法の正義とは?準強制性交等罪をめぐる逆転有罪判決の衝撃

2020年2月5日、福岡高等裁判所で下された判決が、法曹界のみならず社会全体に大きな波紋を広げています。2017年に福岡市内の飲食店で発生した性的暴行事件において、一審の無罪判決を覆し、被告に対して懲役4年の実刑判決が言い渡されました。この「逆転有罪」という結果は、性犯罪における「同意」のあり方を改めて深く考えさせる重要な契機となるはずです。

事の発端は、2017年2月に起きた事件でした。被告である椎屋安彦氏は、飲酒により意識がもうろうとし、抵抗が困難な状態にあった当時22歳の女性に対して性的暴行を加えたとして、準強姦罪(現在は法改正により準強制性交等罪)に問われました。一審の福岡地方裁判所久留米支部は、「女性が目を開けたり声を上げたりした」という点を根拠に、被告が抵抗困難な状態にあると認識していたとは認められないと判断し、無罪を言い渡していたのです。

スポンサーリンク

司法の判断が分かれた「抵抗困難」という認識の壁

しかし、福岡高等裁判所の鬼沢友直裁判長は、一審の判断を真っ向から否定しました。判決理由において、被告が主張する「女性は意識があり、同意があった」という供述について、具体性に欠け信用性が低いと断じています。その上で、女性が酩酊状態により抵抗できない様子を被告が直接目にし、明確に認識していたことは疑いようがないと指摘しました。

ここで注目すべきは、「準強制性交等罪」という言葉が持つ重みです。これは、暴行や脅迫だけでなく、心身の障害や酩酊により抵抗が困難な状況に乗じて行われる性行為を罰するものです。今回の判決は、被害者が抵抗できないことを加害者が利用する行為を「大胆で悪質な犯行」と厳しく断罪しました。司法が被害者の尊厳と、心身の状態を冷静に評価した結果といえるでしょう。

高まる世論と司法への期待

この一連の動きに対し、SNS上では多くの市民から安堵の声と、さらなる議論を求める声が溢れています。2019年3月に一審判決が出た際、名古屋地裁岡崎支部などで性的暴行事件の無罪判決が相次いだことに対し、性犯罪被害者たちが「なぜ同意がないのに無罪なのか」と全国的に抗議の声を上げました。このムーブメントは、性犯罪に対する司法の認識を問う大きなうねりとなりました。

私個人としても、今回の判決は極めて妥当なものだと考えます。酒に酔って抵抗できない状態にある相手に対し、自分の欲望を優先させることは決して許されるべきではありません。性犯罪の判断において、「同意」とは単なる外見上の反応ではなく、相手の心身が健全に意思決定できる状態にあるのかを慎重に見極めるものです。今回の福岡高裁の姿勢が、今後の性犯罪裁判における基準として定着していくことを強く望みます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました