🚀サントリー発Vチューバー「燦鳥ノム」が拓く!デジタル時代を勝ち抜く若者向けブランド戦略の極意【企業広報・マーケティングKPI解説】

近年、情報発信力で一歩抜きん出た存在として注目を集めているのが、日清食品ホールディングス(HD)とサントリーHDです。両社は、それぞれNHKの連続テレビ小説「まんぷく」と「マッサン」の舞台となり、ドラマの中でもそのプロモーション戦略の上手さが光っていました。この卓越した広報・宣伝の姿勢は、インターネット時代になっても全く揺らぐことがありません。

特にサントリーHDは、ついに自社の「専属アイドル」をデジタル空間で誕生させました。それが、バーチャルユーチューバー(Vチューバー)の「燦鳥(さんとり)ノム」です。2018年秋のデビューからおよそ9カ月が経過した2019年5月31日現在、YouTubeでのチャンネル登録者数は約9万人に達し、動画の総再生回数は約750万回という驚異的な数字を記録しています。彼女はトークや歌など、多彩なコンテンツを約50本制作し、定期的にファンに届けている状況です。

燦鳥ノムは、企業が生み出したデジタルキャラクターでありながら、インターネット番組への出演を果たすなど、その活躍の場を広げています。さらに、2019年4月末に開催された「ニコニコ超会議」では、音楽イベントに登場し、多くの観客を魅了しました。この一連の動きは、サントリーHDがまるで**「デジタル芸能事務所」へと変貌を遂げたかのようにも映ります。

彼女のプロモーション手法の特徴は、商品を強く押し出さない点にあります。炭酸飲料を飲んだ際に「口の中がシュワシュワする」と感想を述べる程度なのです。この控えめな姿勢に対し、一部のネットファンは「もっと宣伝すればいいのに」と、逆にやきもきするほどですが、これは「企業色」が強すぎるものを敬遠する現代の若年層顧客へ細やかに配慮している結果と言えるでしょう。

サントリーコミュニケーションズ宣伝部の馬場直也デジタルグループ課長は、この戦略の成果について、「これまでは、とにかく広告を見てもらうために必死でしたが、燦鳥ノムが生まれてからは、お客様が自ら検索してくれるようになりました」と語っています。これは、憧れの存在であった「昭和のアイドル」や、会いに行ける存在だった「平成のアイドル」から、「令和はいつでもどこでも検索できるアイドル」**へと、顧客とアイドルの関係性が変化したことを示唆しているのではないでしょうか。

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日清食品HDの緻密な宣伝戦略とKPI

一方、日清食品HDは宣伝活動を「店頭販売は地上戦、テレビCMは空中戦、そしてネットはサイバー戦」という軍事戦略になぞらえ、極めて緻密にお客様にアプローチしています。同社が特に重視するマーケティングKPI(重要業績評価指標)は、「ツイッターで1万リツイート」「動画再生回数100万回以上」「CM好感度ランキング3位以内」という具体的な目標です。この指標から、デジタル空間での話題性と顧客の共感を重視する姿勢が明確に見て取れます。

この緻密な戦略の好例として、主力商品の一つである「チキンラーメン」の活性化策が挙げられます。チキンラーメンの顧客層は50代以上が約50%近くを占めており、29歳以下の割合は10%未満にまで低下するという課題を抱えていました。そこで同社は、ネット上の消費行動を調査し、「キムチをトッピングして食べるとおいしい」という情報をキャッチしました。この顧客の声をヒントに、可愛らしいキャラクターであるひよこちゃんがキムチのせラーメンを食べることで、恐ろしい魔神に変身するというテレビCMとネットCMを制作し、放映したのです。

その結果、2018年には、NHK連続テレビ小説の効果に加え、このマーケティング戦略が功を奏し、発売60周年を迎えたチキンラーメンは過去最高の売上を達成しました。企業の成功の鍵は、このように「若者に弱い」という課題に対して、データと顧客のインサイト(潜在的な心理)に基づいた施策を迅速に実行できるかどうかにかかっていると言えるでしょう。

ちなみに日清食品も、サントリーの専属Vチューバーとは異なり、その世界では知名度の高い「輝夜月(かぐや・るな)」や「キズナアイ」といったVチューバーをCMタレントとして起用しています。デジタルアイドルが、従来の本物のアイドルの活躍の場を奪い始める時代が、確実に到来しているようです。

少子高齢化が進む日本において、次の世代の顧客となり得る若者との接点をいかに保つかは、企業にとって死活問題です。単に商品を売るという行為だけでなく、デジタル世界でのコミュニケーションを緊密にすることで、ブランド自体が劣化することを防ぐという意識を持つべきです。なぜなら、顧客との関係性やブランドの信頼は、一朝一夕では築き上げられないものだからです。Vチューバーを起用した企業の事例は、デジタル技術を駆使した新しい時代のブランディング戦略を提示していると言えるでしょう。

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