深刻化するドライバー不足という物流業界の課題解決に向けて、「ダブル連結トラック」の進化が止まりません。これは、一台の大型トラックがもう一台のトレーラーを牽引する構造で、運転手が一人で従来車の約二倍の貨物を運べる画期的なシステムです。国土交通省による特殊車両の通行許可基準の緩和により、全長の上限が従来の21メートルから25メートルまで認められるようになり、この長尺車両の開発競争が加速しているのです。
その最先端を走るのが、いすゞ自動車と架装メーカーである日本トレクス(愛知県豊川市)が共同開発した、安全かつスムーズな走行を可能にする新型車両です。この開発は、物流事業者を巻き込みながら実用的な性能向上を目指すもので、深刻な人手不足を背景とする物流業界を強力にサポートするでしょう。実際に2019年3月からは、ヤマト運輸などの物流四社が関東から関西を結ぶ幹線輸送で共同輸送を開始しており、省人化と輸送効率化に大きく貢献するものと期待されています。
いすゞと日本トレクスが共同開発したダブル連結トラックは、全長24メートル98センチ、最大積載量26トン、車両総重量は44トンという驚異的なスペックを誇ります。いすゞのソリューション営業部に在籍する吉成正男シニアエキスパートも「25メートルともなると、新幹線の車両一台に匹敵します」と述べるように、その巨大さがうかがえます。この長大な車体をいかに安全に、そして円滑に運行させるかが開発の最重要課題となりました。
最大の技術的工夫は、カーブでの旋回性を高める点にあります。日本トレクスの中川友市執行役員は「トレーラーがトラックの軌跡をなぞるように動くイメージで開発しました」と説明しています。具体的には、トレーラーのタイヤをつなぐ車軸に「ステアリング(操舵軸)」という、カーブに合わせて車軸が固定されずに稼働する仕組みを採用しました。これにより、トレーラーの前後がトラックの旋回に合わせて動き、長尺車で課題となりがちな「内輪差」をほぼ解消しています。その結果、カーブで必要な占有幅を6.6メートルに抑え込み、通常のトラックが走行できるルートでの運行を可能にしたとのことです。これは「通常のトラックが走れるルートを運びたい」という現場の強い要望を反映させた成果であり、開発チームの試行錯誤が実を結んだと言えるでしょう。
輸送量のほぼ倍増に伴い、従来のトラックのエンジンでは高速道路の合流や坂道などで必要となるパワーが不足してしまうため、車両自体の高性能化が求められました。そこでいすゞは、従来モデルに搭載していた380馬力のエンジンを、さらに改良した400馬力エンジンへと換装しています。さらに、荷台の積載量が減らないように、1年という期間をかけてエンジンの小型化と高出力を同時に実現しました。こうした技術的なブレイクスルーは、物流の未来を担う大きな一歩だと考えられます。
また、ダブル連結トラックは、荷台の入れ替えなく、連結を外してそのままセミトラクター(トラクターヘッドとも呼ばれ、荷台車を牽引する車両)に取り付け、単体で走行できるという柔軟性も備えています。一方で、トレーラーを連結する作業には、トラクターのフックと連結部分を合わせる際に1センチメートル以上のズレも許されないという、熟練の技を要する難しさがあります。夜間など作業環境が悪いと特に苦労するため、照明を追加するなどの工夫がされていますが、中川執行役員は「自動連結するような仕組みをつくりたい」と、更なる作業負荷軽減に向けた未来の展望を語っています。
この新型ダブル連結トラックの開発は、ドライバーの労働環境改善に直結し、将来的な自動運転や複数のトラックが連なって走行する「隊列走行」も見据えた、日本の物流インフラにとって極めて重要な動きでしょう。SNSでも「ドライバーの負担軽減になる」「もっと普及してほしい」といった期待の声が多く上がっており、「物流2024年問題」の解決に向けた大きな一手として、今後のさらなる進化と普及に大いに注目が集まっています。
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