プロ野球ファンが心躍らせる真夏の祭典、オールスターゲームが今年も幕を開けます。2019年07月12日の第1戦を前に、私たちは球史に刻まれたある伝説を思い出さずにはいられません。それは今から48年前、1971年07月17日に阪神タイガースの江夏豊投手が成し遂げた、前人未到の「9連続奪三振」という金字塔です。
西宮球場のマウンドに立った左腕のエースは、パ・リーグが誇るスター打撃陣を相手に、3イニング全てを三振に打ち取るという衝撃的な投球を披露しました。SNS上でも「これを超える伝説はない」と語り継がれるこのシーンですが、実は達成の瞬間、江夏投手は歓喜よりもむしろ、静まり返る球場の異様な緊張感に恐怖すら感じていたといいます。
当時のパ・リーグは「実力のパ」と称され、人気で先行するセ・リーグに対して並々ならぬ対抗心を燃やしていました。三振を恐れずにフルスイングで立ち向かってくる打者たちの気迫があったからこそ、あの大記録は生まれたのです。互いのプライドが激突する中で生まれるドラマこそが、球宴を単なるお祭り騒ぎではない特別な場所に昇華させてきました。
令和の怪物が挑む真剣勝負の美学
近年はセ・パ交流戦の定着により、リーグ間の対戦そのものの新鮮味は以前より薄れているかもしれません。しかし、2019年の舞台にはそれを補って余りある魅力的なスターが揃っています。特に注目したいのは、弱冠19歳にしてファン投票で選出されたヤクルトの村上宗隆選手です。彼の豪快なスイングは、かつての強打者たちが持っていた魂を彷彿とさせます。
かつては「全打席直球勝負」といったパフォーマンスがもてはやされる傾向もありました。もちろん剛腕投手による力押しは魅力的ですが、筆者は本来の持ち味を全て出し切る「ガチンコ勝負」こそが最上のエンターテインメントだと考えます。変化球を織り交ぜ、打者の裏をかく駆け引きを含めた全力の投球こそが、野球の真の醍醐味ではないでしょうか。
パ・リーグを率いる西武の辻発彦監督も、記者会見で「もはや直球のみが美学の時代ではない」と断言し、真剣勝負を選手たちに求めました。おちゃらけたムードを排し、選手が震えるほどの緊張感の中で戦う姿を見せてほしいものです。明日、2019年07月12日のプレイボールから、新たな伝説が刻まれる瞬間を私たちは目撃することになるでしょう。
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