脳がとろける「音なしASMR」の衝撃!あえて消音で楽しむ「想像系」の癒やしと触感不足の現代社会

最近、インターネット上で「ASMR」という言葉を耳にすることが増えましたね。これは「自律感覚絶頂反応」の略称で、特定の音や刺激によって脳がゾクゾクするような心地よさを感じる現象を指します。食べ物を噛む音や、スポンジを切る音などが代表的ですが、いま驚きの変化が起きています。それは、あえて「音を消して」動画を楽しむ人々が急増しているという現象です。2019年07月17日現在、視覚から音を想像する「想像系ASMR」が、新たな癒やしの形として注目を浴びています。

都内のカフェでは、社会人1年目の女性たちがスマートフォンを囲んでいました。池田さん、村上さん、落合さんの3人は、大学時代の友人同士です。彼女たちが熱心に見つめていたのは、キラキラしたスライムを揉んだり、ふわふわのケーキに焼き印を押したりする映像でした。驚くべきことに、彼女たちは音を一切出していません。「公共の場だから」という理由もありますが、池田さんは「耳で聞くよりも、頭の中で音を再現する方が、よりリアルな感触が伝わってくる」と笑顔で語ってくれました。

SNS上でもこのスタイルは共感を呼んでおり、「電車内でも気兼ねなく癒やされる」「自分の好きな音を脳内で再生できるのが最高」といった声が目立ちます。また、音の好みが分かれる咀嚼音などの動画も、無音であれば誰もが映像美として楽しむことが可能です。落合さんは就寝前にこの動画を見ることで「気づいたら寝落ちしている」と言いますし、村上さんは「アロマを焚くのと似た感覚」だと表現しています。静かなブームは、私たちの想像以上に深く生活に浸透しているようです。

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視覚から呼び覚まされる「失われた触感」の記憶

こうした動画の火付け役の一人が、ユーチューバーのえみこさんです。彼女が2018年08月に公開した、スポンジをナイフで刻む動画は、驚異の600万回再生を突破しました。もともとは障害を持つ子供たちのために投稿を始めたそうですが、今や「見ているだけで気持ちいい」という大勢のファンを抱えています。えみこさん自身、スライムに混ぜる素材によって変わる音や手触りに魅了されており、2019年現在も週2回のペースで、視聴者の五感を刺激する新作を世に送り出し続けています。

なぜ、私たちはこれほどまでに「感触」を求めているのでしょうか。慶応義塾大学の仲谷正史准教授は、ASMRの本質を「過去の心地よい体験の記憶」にあると分析されています。例えば耳元で囁かれる声は、幼少期にあやされた記憶を呼び起こし、無意識に抱っこされた時の安心感を再現します。現代社会は文字や画像、音楽といった視覚・聴覚に偏ったコミュニケーションが中心です。そのため、身体全体で感じる「触覚」が決定的に不足しており、脳が飢えている状態なのかもしれません。

こうした「触感への渇望」は、ヒット商品の歴史にも現れています。1970年代のスライムブームや、2007年にバンダイが発売し335万個を売り上げた「∞プチプチ」などがその好例でしょう。そして2019年07月01日、新たな試みが産声を上げました。玩具開発者の高橋晋平さんが、水のりの中にできる気泡を割るためだけの「気泡わり専用アラビックヤマト」の支援募集を開始したのです。これは、かつて私たちが小学校の教室で夢中になった、あの「バカバカしくも愛おしい感触」を再現するものです。

「無」になれる贅沢な時間が、現代人の心をリセットする

高橋さんのプロジェクトは、開始わずか13時間で目標金額を達成しました。2019年10月30日には、東京・丸の内で実際に気泡を割る大会も予定されています。のりのねっとりとした動きに集中し、気泡を割る瞬間、私たちの頭からは余計な思考が消え去ります。これこそが、情報過多の時代に生きる私たちが切望している「マインドフルネス」な瞬間ではないでしょうか。何も考えず、ただ感触の世界に浸る。それは、心身をリセットするための最も贅沢な休息と言えるはずです。

編集者としての私の意見ですが、この「想像系ASMR」や「触感玩具」の流行は、単なる一時的なブームではなく、デジタル疲れに対する現代人の生存本能のような気がしてなりません。画面越しに情報を処理し続ける毎日は、私たちが思っている以上に脳を疲弊させています。意味のある情報を遮断し、ただ「心地よさ」という原始的な感覚に身を委ねること。それによって得られる「頭が空っぽになる感覚」こそが、明日を生きるための活力になるのでしょう。

スマホ1台でいつでもどこでも「無」になれる時間は、現代における最高の処方箋かもしれません。もし、あなたが日々の生活で少しだけ息苦しさを感じているのなら、今夜はASMR動画の音をあえて消して、画面の向こう側の感触に指先で触れるような想像をしてみてはいかがでしょうか。そこには、言葉では言い表せないほどの深い安らぎが待っているはずです。脳が喜ぶ新しい癒やしの習慣を、ぜひあなたも体験してみてください。

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