【2019年6月】米中対立で国際商品市場が激変!銅・アルミの「非鉄金属」は需要減速で先安、一方「トウモロコシ」は悪天候リスクで高騰の公算

2019年6月上旬の主要国際商品市場は、非鉄金属と穀物で明暗が分かれる展開となっています。特に米国と中国の貿易摩擦の激化、さらに米国がメキシコからの輸入品に制裁関税を課す可能性を示したことで、世界経済の減速に伴う需要減少への懸念が強く意識されている状況です。

こうした状況のなか、非鉄金属の国際指標である銅の価格は、先安観が強まっています。ロンドン金属取引所(LME)の3カ月先物価格は、2019年5月31日には1トンあたり5,830ドルと、約5カ月ぶりの安値を記録いたしました。銅は世界消費の約5割を中国が占めているため、同国での需要動向が相場に大きな影響を与えます。みずほ銀行デリバティブ営業部の能見真行調査役の見立てでは、「当面は弱含みで推移し、5,700ドル前後まで水準を切り下げる可能性」があるとのことです。

銅相場の下落は、同じ非鉄金属であるアルミニウム(アルミ)にも波及し、LMEの3カ月先物価格は5月下旬に1トンあたり1,780ドルまで落ち込み、これは実に2年4カ月ぶりの安値水準に沈んでいる計算です。非鉄相場の下押し要因として、世界最大の自動車市場である中国で新車販売の減速が続いていることが挙げられます。自動車部品などに使われる非鉄金属の需要が落ち込むとの見方が広がっており、この懸念が相場を大きく押し下げているといえるでしょう。

私は、この非鉄金属の価格下落は、単なる一時的な調整ではないと考えます。米中貿易摩擦という構造的な問題が世界経済の成長の足かせとなり、**「景気後退」**への不安が実需の減少を招いているのです。非鉄金属は景気のバロメーター(指標)とも言われるため、この価格動向は今後の世界経済の雲行きを示す重要なサインだと捉えるべきでしょう。

非鉄金属の低迷にプラチナ(白金)も連動する形となっています。プラチナ相場も弱い基調が続きそうで、2019年5月上旬に相次いで発表された調査機関の19年需給見通しでは、調査した3社のうち2社が供給過剰が続くと予測しました。これが引き金となり、5月下旬には3カ月ぶりに1トロイオンスあたり800ドルを下回ったのです。米中対立に伴う需要減少の観測が相場の上値を抑え、当面は800ドル前後での値動きが続く可能性が高いでしょう。

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天候リスクで高騰する穀物市場:トウモロコシは3年ぶり高値に

一方、非鉄金属とは対照的に、穀物市場では天候リスクが価格を押し上げる展開です。穀物の代表格であるトウモロコシの価格指標となる米シカゴ先物(期近)は、5月下旬時点で1ブッシェルあたり4.3ドル前後と、3年ぶりの高値を付けました。この高騰の背景にあるのは、米国中西部の穀倉地帯での作付け作業の大幅な遅れです。悪天候が続き、農作業が大きく遅延したことで、作柄(さくがら:作物の生育状況)の悪化や収穫量が減るとの観測が広がり、国際価格が急騰したものです。

もちろん、トウモロコシの主要な輸入国である中国とメキシコに対し、米国が強硬な貿易政策を示しているため、米国産穀物の輸出需要が減少するとの見方から、相場が安くなる場面も見受けられました。しかし、現在の市場は貿易摩擦による需要減の懸念よりも、米国産地での悪天候による生産量の減少リスクをはるかに重視しています。そのため、トウモロコシ相場は上昇基調を維持する公算が大きいと見ています。穀物は人間の生存に直結する**「食料」**であり、貿易政策よりも天候による供給リスクが相場を動かすのは当然のことでしょう。

原油と金:米中対立が供給懸念を打ち消し、安全資産に資金流入

原油価格は下落圧力を強めています。指標となるニューヨーク市場のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物は、足元で1バレルあたり50ドル台前半と、わずか1カ月で約10ドルも下落しました。米中対立の長期化によって、世界第2位の石油消費国である中国の需要が減少するとの見方が強まり、中東情勢の緊迫化による供給減の懸念を打ち消してしまっているのです。

一方、金(ゴールド)は堅調に推移する見通しです。金の価格は、「金利のつかない資産」という特性から、米国債などの長期金利が低下すると相対的な魅力が増す傾向にあります。現在、米国の長期金利は2年ぶりの低水準にあり、金に投資しやすい環境が整っています。さらに、米中対立に伴う株価の急落から、安全資産とされる金に投資資金が流入し、約3カ月半ぶりの高値を付けたばかりです。

2019年6月下旬には、大阪で20カ国・地域首脳会議(G20サミット)が控えており、米中首脳会談が行われる見通しとなっています。もしこの会談で米中の対立が一層強まり、世界景気への悲観論が強まることになれば、安全資産である金にはさらに資金が流入し、一段高となる可能性も十分に考えられるでしょう。

これらの国際商品市場の変動について、SNSでも「米中対立の影響がここまで広がるのか」「トウモロコシの悪天候リスクは無視できない」といった、世界経済の動向と天候の両面を懸念する声が多く見受けられます。多くの投資家は、今回のG20サミットでの米中首脳会談の結果に注目しつつ、世界景気減速と生産リスクのバランスを見極める、難しい局面に立たされているといえるでしょう。

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