みなさん、こんにちは。本日は2019年06月06日に発表された、評論家・速水健朗氏による「目利きが選ぶ3冊」の中から、特に興味深い一冊を中心にご紹介します。令和の時代が始まったばかりの今だからこそ、昭和という時代を築き上げたメディアの先人たちに思いを馳せてみるのはいかがでしょうか。今回メインで取り上げるのは、泉麻人氏による『冗談音楽の怪人・三木鶏郎』です。タイトルにある「怪人」という響きだけで、ミステリアスな魅力に引き込まれそうになりますね。
かつて日本のメディア黎明期に、彗星のごとく現れた三木鶏郎という人物をご存知でしょうか。彼は1947年(昭和22年)に始まったNHKラジオ番組「日曜娯楽版」の中で「冗談音楽」というコーナーを担当し、戦後日本のラジオ・スターとして君臨しました。「冗談音楽」とは、単なるコミックソングではありません。社会風刺やユーモアを軽快なリズムに乗せて大衆に届ける、当時の最先端エンターテインメントだったのです。しかし、彼はその後、テレビCMソングの第一人者として活躍しながらも、メディアの表舞台から姿を消してしまいます。
昭和の東京と「消えた巨人」の足跡を追う
著者の泉麻人氏は、昭和のテレビ文化に非常に造詣が深いエッセイストとして知られています。本書において泉氏は、三木鶏郎という人物の功績だけでなく、彼が過ごした市ケ谷や赤坂といった当時の東京の風景までも鮮明に描写しています。まるでタイムスリップしたかのような感覚で、戦後メディアの熱気を感じ取ることができるでしょう。私自身、この本を読んで、彼が単なる過去の音楽家ではなく、現在のバラエティやCM文化の礎を築いた「巨人」であったことに改めて気付かされました。
SNS上でも、本書を手に取った読者からは「昭和のテレビ史の裏側が知れて面白い」「三木鶏郎の名前は知っていたけれど、これほどの影響力があったとは驚きだ」といった驚嘆の声が上がっています。また、泉氏ならではの視点による「街歩き」的な要素も評価されており、古き良き東京の地理や文化に関心がある層からも熱い支持を得ているようです。歴史の教科書には載らない、しかし確実に存在した「熱狂」を知るには最適の良書と言えるでしょう。
現代社会を映す鏡としての「ディストピア」と「音楽教育」
今回の選書では、他にも興味深い2冊が紹介されています。円堂都司昭著『ディストピア・フィクション論』は、監視・管理社会をテーマにした作品群を読み解く一冊です。伊坂幸太郎や伊藤計劃といった作家たちが描く、現実の延長線上にある暗黒の未来像、いわゆる「ディストピア」は、テクノロジーが進化する2019年現在の私たちにとって、決して絵空事ではありません。なぜ私たちがこれほどまでにフィクションの世界にリアリティを感じてしまうのか、その構造を批評的に分析しています。
もう一冊は、ジャズ音楽家・大谷能生氏による『平成日本の音楽の教科書』です。学校の音楽の授業といえば、ドレミの音階練習と伝統音楽が同居する、どこか不思議な空間だった記憶はないでしょうか。なぜ人気がない授業になりがちなのか、その教科書には何が書かれているのかをプロの視点で解き明かします。この2冊もまた、私たちが普段当たり前だと思っている「社会」や「教育」というシステムに一石を投じる、刺激的な内容となっています。
いかがでしたでしょうか。今回ご紹介した3冊は、過去の偉人、未来への警鐘、そして身近な教育の謎と、それぞれ異なる角度から私たちの知的好奇心を刺激してくれます。特にメインで取り上げた三木鶏郎の足跡は、令和という新しい時代を迎えた今こそ、振り返るべき貴重なアーカイブです。ぜひ書店で手に取り、知られざる物語の扉を開いてみてください。
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