不動産経済研究所が2019年07月24日に発表したデータによると、2019年上半期(01月から06月まで)の首都圏マンション発売戸数は、前年同期と比べて13.3%も減少した1万3436戸に留まりました。この数字は、バブル崩壊直後の1992年以来、実に27年ぶりとなる歴史的な低水準です。かつての活況を知る世代からすれば、驚きを隠せないニュースと言えるのではないでしょうか。
SNS上でもこの報告は大きな波紋を広げており、「もはや一般庶民には手が出せない価格まで上がってしまった」「無理をしてローンを組む時期ではない」といった、慎重な姿勢を見せる声が目立っています。実際に、2019年上半期の平均価格は6137万円に達しており、7年連続で上昇を続けている状況です。供給が絞られた背景には、こうした価格の高騰による買い控えの動きが鮮明になっていることが挙げられます。
在庫圧縮を優先する不動産各社の戦略と市場の停滞感
現在の不動産市場では、新規物件を次々と投入するよりも、手元にある在庫を確実に売却する「在庫圧縮」が優先されています。専門用語である「在庫圧縮」とは、完成しても売れ残っている物件を減らし、キャッシュフローを改善させる経営判断を指します。2019年06月末時点の在庫数は7438戸にのぼり、前年の同時期と比較して1000戸以上も積み上がっているのが実情でしょう。
物件が完売するまでの期間も長期化しており、2013年頃には7ヶ月から8ヶ月ほどで完売していたものが、2018年には1年以上を要するようになりました。さらに、建物が完成する「竣工」から半年以上経過しても販売が続いている物件の割合も上昇しています。こうした状況から、デベロッパー各社はあえて供給を抑え、市場の需給バランスを調整しようと苦心している様子が伺えます。
興味深いことに、2019年10月に予定されている消費税増税を前にした「駆け込み需要」は、今回の調査ではほとんど確認されませんでした。住まいは人生で最も大きな買い物の一つですから、わずかな増税分に惑わされることなく、納得のいく物件をじっくりと見極めたいという消費者の賢明な判断が反映されているのだと感じます。安易な値引きに頼らず、ブランドイメージを維持しながら時間をかけて売るという、大手各社の体力勝負の様相を呈しています。
パワーカップルが支える高級志向と「晴海フラッグ」への期待
価格が高騰する一方で、好立地な高級マンションに対する需要が完全に消えたわけではありません。夫婦共に高い収入を持つ「パワーカップル」や富裕層からの支持は根強く、市場は二極化が進んでいます。パワーカップルとは、世帯年収がおよそ1000万円から1500万円を超える共働き夫婦を指す言葉ですが、彼らの購買力が現在の高価格帯相場を支える大きな要因となっていることは間違いありません。
私個人の見解としては、今のマンション市場は「踊り場」に差し掛かっていると考えています。誰もが買える価格帯ではなくなった今、不動産会社には数字上の戸数を追うことよりも、長く住み続けたいと思える付加価値の提供が求められているはずです。単なる「箱」としての住居ではなく、暮らしの質をいかに高められるかが、今後の成否を分ける鍵になるでしょう。
2019年下半期に向けては、明るい兆しも見えています。東京五輪の選手村跡地を活用した巨大プロジェクト「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」の第1期販売がいよいよ開始される予定です。4000戸を超える大規模な供給が市場にどのような刺激を与えるのか、業界全体が注目しています。下半期の供給予測は2万3500戸と回復基調にあり、この勢いが冷え込んだ市場を再び温めるきっかけになることを期待したいですね。

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