日本の大学入試が大きな転換期を迎えようとしている2019年07月26日、全国の公立高校などで構成される全国高等学校長協会が、文科省に対して一つの要望書を提出しました。これは2020年度からスタートする「大学入学共通テスト」の目玉とされる、英語民間試験の導入に関するものです。現在、学校現場では制度の不透明さからくる混乱が広がっており、受験生を預かる責任者として看過できない事態に陥っているといえるでしょう。
そもそも英語民間試験の導入とは、英検やGTECといった民間企業が運営する試験の結果を、大学入試の合否判定に活用する仕組みを指します。これまでの「読む・聞く」という2技能に、「話す・書く」を加えた4技能をバランスよく評価することが目的です。しかし、この画期的な試みが、今まさに大きな壁にぶつかっています。各試験によって実施方法や採点基準が異なるため、公平性を保つことが極めて難しいという課題が浮き彫りになりました。
特に深刻視されているのは、受験生の住んでいる地域や家庭の経済状況によって生じる格差です。試験会場が都市部に集中しているため、離島や遠方に住む生徒は宿泊費や交通費の負担を強いられることになるでしょう。SNS上でも「生まれた場所でチャンスが変わるのは不公平だ」という声や、「検定料が高すぎて何度も受けられない」といった悲鳴に近い意見が相次いでいます。こうした不満は、教育の機会均等という理念を揺るがしかねません。
現場の混乱を象徴する要望書の中身と、これからの入試に求められる公平性とは
今回の要望書で全国高等学校長協会が強く求めたのは、不安を抱える生徒や保護者に対する具体的な解消策の提示です。試験の予約システムが複雑であることや、成績の提供方法が具体化されていない点など、現場が直面している問題は山積みとなっています。私は、グローバル化に対応した英語力の育成という方向性には賛成ですが、その評価指標となる試験制度が、これほどまでに準備不足のまま進められることには強い危惧を覚えます。
教育改革は未来を担う若者の人生を左右するものであり、実験的な試みで彼らを振り回すことは許されません。文科省には、現場の声に真摯に耳を傾け、誰もが納得できる透明性の高い運用ルールを早急に構築する責任があるのではないでしょうか。2019年07月26日の要望書提出は、まさに教育現場からのラストスパートに近い警告と言えます。公平で安心できる入試環境が整備されることを、一人の編集者として切に願わずにはいられません。
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