不動産経済研究所が2019年08月16日に発表した最新の調査結果によると、首都圏の不動産投資市場に大きな変化の波が押し寄せています。2019年上半期、つまり01月から06月の間に供給された投資用マンションの戸数は3196戸にとどまり、前年の同じ時期と比較して31%もの大幅な減少を記録しました。この数字は、これまでの活況な市場を知る関係者にとって、驚きを持って受け止められています。
「投資用マンション」とは、購入者が自ら住むためではなく、第三者に貸し出して家賃収入を得ることを目的とした不動産のことを指します。将来の資産形成や節税対策として注目を集めてきたこの市場ですが、今回の急減は単なる一時的な落ち込みではない可能性を示唆しているのです。物件数で見ても71物件と、前年同期から24%も減っており、市場全体にブレーキがかかっている様子が伺えるでしょう。
供給減少の裏に潜む「ホテル・オフィス」との熾烈な用地取得競争
なぜ、ここまで供給が絞られているのでしょうか。その大きな要因として挙げられるのが、マンションデベロッパー各社による用地取得の激化です。現在、都心部では宿泊需要の高まりを受けたホテルの建設や、好調な企業業績を背景としたオフィスビルの需要が非常に旺盛となっています。その結果、限られた土地を巡って投資用マンションがこれらの用途と競合し、土地を手に入れることが極めて困難な状況に陥っているのです。
価格面についても注目すべき点があります。供給戸数が3割以上も減っている一方で、平均価格は3047万円と、前年同期比でわずか1%の下落にとどまりました。土地の仕入れ価格が高騰しているため、分譲価格を大幅に下げる余裕がないというのが供給側の本音ではないでしょうか。このように高止まりする価格設定も、新規供給のハードルを一段と高くしている一因と言えるかもしれません。
都心3区や羽田周辺でもブレーキ?SNSで広がる投資家の不安と期待
特に深刻なのが、資産価値が高いとされるエリアでの供給不足です。千代田区、中央区、港区からなる「東京都心3区」では減少傾向が続いており、さらに単身世帯からのニーズが絶大な羽田空港周辺の大田区でも供給が細っています。2018年には前年比29%増の7816戸が供給され、非常に勢いがあった市場ですが、2019年通年では2年ぶりに7000戸を割り込むことが確実視される情勢となりました。
このニュースに対し、SNS上では「いよいよ不動産バブルの終焉か」と警戒する声が上がる一方で、「供給が減れば希少価値が上がり、既存物件の価値が維持されるのでは」といった前向きな捉え方をする投資家も見受けられます。将来的な人口動態や景気動向を不安視する意見も散見され、ネット上での反応はまさに期待と不安が入り混じったカオスな状況を呈しているようです。
私自身の見解としては、今回の供給減少は市場の健全化に向けた調整局面であると捉えています。これまでは勢いに任せた供給も見られましたが、土地取得競争が激化したことで、デベロッパーはより厳選された立地に絞らざるを得なくなっています。投資家にとっては、安易に物件が溢れないことで、長期的な資産価値の安定が期待できるという側面もあるのではないでしょうか。
今はまさに、量より質が問われる時代へと移行する過渡期にあるのです。供給が絞られているからこそ、個別の物件が持つポテンシャルを見極める審美眼が、これまで以上に重要になってくることは間違いありません。2019年下半期に向けて、価格動向や用地取得の行方が、今後の不動産投資のトレンドを決定づける大きな鍵となるでしょう。
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