マンション販売大手のプレサンスコーポレーションが、デジタル技術を駆使した新しい営業戦略で大きな注目を集めています。同社は自社開発のシミュレーションサイトを活用することで、これまで不動産投資に馴染みが薄かった30代から40代の現役世代を顧客として取り込むことに成功しました。この革新的なアプローチにより、2021年03月期を最終年度とする中期経営計画において、売上目標を約60億円も上回る勢いを見せているのです。
SNS上では「スマホで手軽に収支をシミュレーションできるのが便利」「強引な勧誘よりもデータに基づいた数字が見える安心感がある」といったポジティブな反応が相次いでいます。若年層にとって、不動産は「高額で手が出しにくいもの」から「データで分析可能な資産運用の一つ」へとイメージが変化しているようです。テクノロジーを介在させることで、従来の不透明な不動産取引のイメージを払拭している点が、今の時代にマッチしていると言えるでしょう。
不動産版ロボアド「Braight」が導く資産運用の未来
今回、快進撃の原動力となっているのが、シミュレーションサイト「Braight(ブライト)」です。これは投資信託の世界で普及している「ロボットアドバイザー(ロボアド)」の不動産版とも言える画期的な仕組みです。ロボアドとは、高度なアルゴリズムを用いて投資配分などの助言を自動で行うサービスを指します。利用者が希望する最寄り駅や築年数を入力するだけで、AIが将来の入居率や物件価格の推移を瞬時に算出してくれるのです。
このシステムの信頼性を支えているのは、プレサンスが長年蓄積してきた膨大な販売実績データです。過去のリアルな取引事例を基に計算されるため、非常に現実味のあるシミュレーション結果が得られる点が評価されています。しかも、これほど高度な分析を無料で体験できるとあって、効率的な資産形成を望む30代以降の層から熱烈な支持を得ています。自身のライフプランに合わせて数字を可視化できる体験は、現代人にとって非常に価値が高いものです。
さらに、シミュレーション結果のすぐ側に同社の物件広告を表示することで、ユーザーを自然な形で資料請求へと誘導する工夫も凝らされています。もともと投資に関心を持ってサイトを訪れている層が相手ですから、営業の効率も飛躍的に向上しています。土井豊副社長も「効果は想定以上だ」と手応えを語っており、2021年03月期にはこのサイト経由の売上だけで約60億円に達する見通しです。これは全体の売上目標には含まれていなかった、嬉しい上振れ要因となります。
「モーレツ営業」からの脱却と効率化への挑戦
このデジタルシフトの背景には、同社がこれまで得意としてきた伝統的な「モーレツ営業」に対する強い危機感がありました。かつてのプレサンスといえば、1人の担当者が1日に200件もの電話をかける泥臭い人海戦術で急成長を遂げた企業です。その実力は折り紙付きで、2018年のマンション供給戸数ランキングでは名だたる大手を抑えて全国2位に輝き、2020年03月期の連結純利益も10期連続で最高益を更新する見込みとなっています。
しかし、都築泰雄執行役員が「200件電話しても次につながるのは10件程度」と明かすように、関心のない層へのアプローチは限界を迎えつつあります。深刻な人手不足により優秀な人材の確保が困難になる中、非効率な営業スタイルを続けることはリスクでしかありません。そこで、あらかじめ関心のある層をウェブで捕まえる戦略へと舵を切りました。論理的な金融知識を求める若年層のニーズに、AIによる透明性の高いデータ提示で応えた形です。
個人的な見解を述べれば、この戦略転換は非常に賢明な判断だと感じます。これからの不動産市場は、精神論による営業ではなく、いかに顧客を納得させる「根拠」を提示できるかが勝負になるでしょう。プレサンスは今後、この「Braight」の認知度をさらに高め、今はまだ投資に無関心な若者層まで開拓していく構えです。シミュレーターという入り口を通じて知的な好奇心を刺激し、購買へとつなげる仕組みは、今後の業界標準になるかもしれません。
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