日本経済の屋台骨を支える中小企業の経営状況に、興味深い変化の兆しが見えてきました。2019年08月20日に発表されたTKC経営指標(BAST)の最新データによると、2018年における全産業の黒字企業割合は53.4%を記録しています。これは前年度から0.5ポイントの改善を見せており、実に9年連続で上昇し続けているという驚きの結果となりました。景気の緩やかな回復基調が、現場の数字にも着実に反映されていると言えるでしょう。
企業の活力を示す売上高についても、5年連続でプラス成長を維持しており、市場の活況が伺えます。しかし、手放しで喜んでばかりもいられない実情が浮き彫りになりました。売上が伸びている一方で、全産業の経常利益、つまり本業の儲けから財務費用などを差し引いた最終的な実力値は、わずかながら減少に転じているのです。利益を圧迫している主な要因は、人件費や家賃といった、売上の増減にかかわらず発生する「固定費」の膨張にあります。
労働環境の変化がもたらす「1人当たり売上高」減少の正体
今回の調査で特に注目すべき点は、従業員数が増加傾向にあるにもかかわらず、1人当たりの売上高が減少している事実です。この背景には、現在多くの企業が取り組んでいる「働き方改革」が深く関わっていると推測されます。残業時間の抑制や休暇取得の促進により、以前のような長時間労働に頼った収益構造が維持できなくなっているのでしょう。SNS上でも「現場の負担は減ったが、稼ぐ効率をどう上げるかが課題だ」といった経営者の切実な声が散見されます。
私自身の見解としては、この変化を単なる「効率低下」と悲観的に捉えるべきではないと考えています。黒字企業が9年増え続けているという事実は、日本の中小企業が体質改善に成功しつつある証左に他なりません。これからは増えた人員をいかに有効活用し、IT投資などを通じて労働生産性、つまり「限られた時間で生み出す価値」を高めていけるかが勝負となります。今はまさに、量から質へと経営の舵を切るための、重要な転換期に立ち会っているのです。
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