🚀アベノミクス7年目の課題を徹底解説!生産性向上と「働き方改革」が日本経済の将来を左右する🔑

2019年6月28日、安倍晋三内閣は成長戦略実行計画および経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる「骨太の方針」を閣議決定しました。第2次安倍政権発足以来7回目となるこの成長戦略は、従来の「Society 5.0」実現への施策に加え、「全世代型社会保障」への改革、すなわち70歳までの就業機会確保や中途採用促進、疾病・介護予防、さらには人口減少に対応した地方創生策などを包含しています。加えて、人づくり革命、働き方改革、規制改革、経済連携といった多岐にわたる成長施策も盛り込まれました。

第2次安倍政権が2012年末に発足した当時、日本経済はマイナス成長とデフレ(物価が継続的に下落し、お金の価値が上がること)に直面していました。その後、アベノミクスによる景気回復はおおむね順調に進み、2014年にはデフレから脱却、国内総生産(GDP)ギャップ(経済全体の総需要と潜在的な供給力の差で、プラスは需要超過を示す)もプラスに転じました。雇用情勢も改善し、失業率は2%台にまで低下しています。しかし、その効果を中長期的な経済成長の視点から見ると、アベノミクス発動後の6年間の潜在成長率は約1%程度にとどまっているのが現状です。これは、政権最初の成長戦略で目指した「10年間の平均で実質2%程度」という目標を大きく下回っています。

なぜ目標に届かないのでしょうか。それは企業や家計が、日本経済の先行きに対して依然として慎重な見方をしているためでしょう。内閣府の調査によれば、法人企業が予想する今後5年間の実質成長率は、政権発足1年後の1.5%から、最近4年間は1.0~1.1%に低下しています。また、家計部門の6年間の消費の伸びは平均0.5%にとどまっており、過去の景気拡大局面の平均1.6%を大幅に下回っているのです。現役世代(勤労者世帯)の消費抑制と貯蓄率の上昇は、家計が将来に対して厳しい展望を持っていることを如実に示唆していると言えるでしょう。

経済政策、特に成長戦略が果たすべき重要な役割の一つは、国民の期待(中長期的な将来見通し)に働きかけることです。期待が上向けば、企業は投資を増やし、家計は消費に回す割合を増やすといった行動変化につながります。生産性の向上と成長率の引き上げを実現するメカニズムとその具体的な方策を示し、国民の信認を得ることで、初めて企業や家計の期待成長率が浮上し、現在の投資増加や消費拡大という好循環を生み出すことができるはずです。この中長期的な好循環の構築は、米中貿易摩擦など世界経済の不透明性が高まる現在において、外部からのショックに強い経済を築くためにも不可欠だと考えられます。

筆者は、国民の将来展望を明るくする現実的な鍵は、「働き方改革」が握っていると考えます。なぜなら、働き方改革の実現は、自らの賃金・所得上昇という直接的な経路に加え、国民全体の将来展望そのものを変えていくという、より広範な効果をもたらす可能性があるからです。少子高齢化・人口減少という構造的な壁を乗り越えて「Society 5.0」を実現するには、労働力参加の促進だけではなく、生産性向上が必須です。そのために多様な働き方を可能にする社会を構築し、人的資本を高め、労働力がより付加価値の高い分野へシフトすることが望まれます。

安倍政権は働き方改革に注力し、2018年には関連法が成立しました。2019年4月からは残業時間の上限規制や有給休暇取得義務化などが順次施行されています。さらに、2020年4月には大企業を対象に非正規雇用(契約社員やパートなど、正社員以外の雇用形態)における不合理な待遇差(賃金格差)の是正も導入される予定です。これらは改革の第一歩として一定の成果を上げていると言えますが、柔軟な働き方の実現という点では、まだ道半ばです。

2019年の成長戦略では、全世代型社会保障への改革の一環として、70歳までの就業機会確保や中途採用の促進、そしてメンバーシップ型(新卒一括採用などで会社への帰属意識を重視する日本の伝統的な雇用慣行)から、働く人がスキルや専門性に基づいて仕事内容を決める「ジョブ型」の雇用形態への転換などが盛り込まれました。これまでのアベノミクス後の6年間で雇用者は約400万人増加しましたが、そのうち非正規雇用者が300万人を占め、大半が女性や高齢者です。これは人手不足を女性や高齢者で補う「動員型」とも言える量的拡大を主眼とした施策の側面が強かったためでしょう。

一方で、非正規雇用者の増加にもかかわらず、雇用のミスマッチは改善されず、賃金の伸びも低調に推移しています。基本給である実質所定内給与は減少または横ばいで、実質可処分所得(収入から税金や社会保険料などを引いた、自由に使えるお金)の伸びも低水準にとどまっています。企業の働き方改革の実施状況を見ても、「長時間労働の削減」や「休暇取得の促進」といった取り組みの実施率は高いものの、「テレワーク制度の導入」や「非正規雇用労働者の待遇改善」など、柔軟な働き方を促す施策への対応は遅れていることが明らかになっています。

この現状を踏まえ、2019年の成長戦略でジョブ型正社員(職務、勤務地、労働時間などのいずれかまたは複数が限定された社員)への取り組みが改めて盛り込まれたことは非常に注目に値します。ジョブ型正社員は、雇用者に働き方の選択肢を広げ、子育てなど個々のライフスタイルに合わせた働き方を可能にします。特に「職務限定型」は、技能に応じた報酬や専門人材の確保にも繋がるため、生産性向上に資すると期待されます。このジョブ型正社員のルール化や法制化は、過去に検討されながらも実現に至らなかった経緯があるだけに、今回の規制改革推進会議からの答申を受け、着実な実施を切に期待したいところです。

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財政見通しの率直な提示で政策への信頼を築く

また、働き方改革と並ぶもう一つの鍵は、たとえ厳しい内容であっても、財政・社会保障見通しを率直に提示することです。これは、政策に対する国民の信用を高め、結果として成長戦略への信認を一層高める効果があります。税・社会保障の一体改革を着実に進めるとともに、透明性の高い情報開示を行うことで、国民は将来にわたる財政状況を正しく認識し、その上で消費や設備投資といった経済活動を判断することができるようになるでしょう。

SNS上でも、「働き方改革は結局、残業を減らすだけのサービス残業隠しになっているのではないか」「非正規の待遇改善が伴わないと、将来への不安は消えない」といった、実効性への疑問や厳しい意見が多く見受けられます。こうした国民の声に応え、日本経済が将来的に良くなり、一人ひとりの暮らしも改善していくという明るい展望が明確に描ければ、企業や家計の活動は間違いなくそれに向けた前向きな動きへと変わっていくはずです。将来への希望こそが、現在の経済活動を活性化させる原動力となるのです。

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