🔍経済停滞でも支持率40%台を維持する文在寅大統領の“不思議”を解き明かす!韓国政治の深層

2019年5月をもって発足3年目に入った韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権ですが、経済政策の不振や外交・北朝鮮との南北関係の停滞がアキレス腱(けん)となっており、保守系メディアからは「四面楚歌(そか)」や「文在寅パッシング(外し)」といった厳しい論調が相次いでいます。しかし、驚くべきことに、大統領の支持率は40%台という比較的安定した水準を保ち続けています。この“不思議”な現象の背景には、韓国国内の複雑な事情が潜んでいると考えられます。

直接選挙で選ばれた大統領として過去最高の84%という驚異的な支持率でスタートを切った当初の勢いは、残念ながら見られません。国民の間に広がる景気悪化への不満は、政権交代や3度にわたる南北首脳会談による高揚感をかき消してしまいました。世論調査会社韓国ギャラップの調査によると、文氏の支持率は2018年11月を最後に**50%**を超えることができていない状況です。

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世代間格差と「正義」への期待が支持層を固める

一方で、支持率が30%台まで急落するということもありませんでした。2019年5月第4週の支持率は46%で、不支持率の44%をわずかに上回っています。この調査までの約半年間、支持率は41%から49%の間で安定的に推移しているのです。これは歴代大統領と比較しても高い水準であり、政権発足2年時点での文氏の支持率47%は、国民的人気のあった金大中(キム・デジュン)氏に次ぐ高水準です。

この支持率安定の理由の一つは、世代別支持率に明らかに見られます。文氏を支持する層のなかでも、特に30代(57%)と40代(65%)が突出して高い支持を示しているのです。この世代は、韓国が国家破綻の危機に瀕した1997年のIML(国際通貨基金)危機を学生または若手社会人として経験し、その後の市場原理主義の波をもろに受けました。そして、現在の彼らは子どもの教育費負担の増加や不動産価格の高騰に見舞われ、社会の「格差」を最も肌で感じている世代だといえるでしょう。

朝鮮戦争を経験した世代や、高度経済成長期である「漢江(ハンガン)の奇跡」の恩恵を享受した50代から70代以上、さらには深刻な就職難に直面し、文氏の経済政策に厳しい目を向ける20代男性の多くが反文政権勢力に傾いているのとは対照的です。30代や40代の支持層は、今も「公正な社会」や「正義」の実現を文政権に強く期待している傾向が強く、これは2年前の大統領選の出口調査で文氏への投票率が最も高かったことからも裏付けられています。

女性層の強い支持と「既得権益勢力」への抵抗感

文政権を支えるもう一つの重要な要素が「女性」です。長らく男性優位社会が続いてきた韓国で、女性が日常的に経験する差別や苦悩を描いた小説『82年生まれ、キム・ジヨン』が異例の大ベストセラーになったことは、社会の意識の変化を象徴しています。文政権は、フェミニズムやジェンダーの問題に積極的に焦点を当て、女性を暴力から守るための法整備や、女性の職場進出に力を注いでいます。こうした政策が、多くの女性層の支持を確実につなぎとめているのです。

皮肉なことに、文政権の最大の「応援団」は、他ならぬ保守勢力だともいえるでしょう。文氏の前任者である李明博(イ・ミョンバク)氏、朴槿恵(パク・クネ)氏の両大統領経験者が、収賄などの罪で退任後に逮捕・収監されたことは、約9年間にわたる保守政権時代の「負の記憶」として韓国国民の間に色濃く残っています。分裂状態に陥るなど致命的な打撃を受けた保守勢力の再生は、現時点ではまだ遠い道のりのようです。

就任当初に文氏の支持率が8割を超えた背景には、民間人の友人に国政を牛耳られた朴槿恵氏のスキャンダルを契機に、保守層の一部も文氏を支持した経緯があります。その後、ほとんどの保守層は文氏が進める分配重視や北朝鮮との融和一辺倒の政策に嫌気がさし、もとの保守的な立場に戻りました。

その一方で、中道や中間層と重なる無党派層の大半は、今も文氏の支持層として踏みとどまっていることが分かります。彼らの心には、保守政権下で権勢を振るった保守政党や検察、財閥創業者一族といった「既得権益勢力」に対する強い抵抗感があるからです。文氏の支持理由を見ても、「北朝鮮との関係改善」に次いで「最善を尽くしている/一生懸命」という改革への姿勢が評価されていることがうかがえます。

リベラル化とポスト文在寅不在が支持率維持の鍵

民主化から32年が経過した韓国社会では、リベラル化が着実に進んでいます。最近の世論調査で歴代大統領の信頼度や好感度の高さを尋ねたところ、文氏の盟友であり、任期中は保守勢力のみならず身内の革新勢力からも批判された盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏を挙げた人が最も多かったという事実は、この社会の傾向を示しているでしょう。

世宗研究所の陳昌洙(チン・チャンス)首席研究委員は、文氏の支持率が40%台から崩れない要因について、「就任後のバブルははじけたものの、中間層や無党派層が文政権に失望しながらも、まだ期待をかけている状態だ」と分析しています。私自身の意見としても、この「期待」の持続は、文政権が掲げる「改革」の旗が、長年の不公正に対する国民の鬱憤を晴らす可能性を、まだ示唆しているからではないかと推察します。

2019年に入り、政党別支持率において「無党派層」は全体の25%前後を占めており、文氏が所属する革新系与党「共に民主党」に次ぐ“第2勢力”となっています。このように、保革(保守と革新)が長年激しく対立してきた韓国において、中道の無党派層が政権の浮沈のカギを握る構図へと変化しているのです。

さらに、3年後に予定されている次期大統領選に向けて、革新系与党内に「ポスト文在寅」の有力候補が不在であることも、文氏の支持率急降下に歯止めをかける要因となっています。「1強」を崩せない野党やライバルの力不足という構図は、どこか日本の政界事情と重なる部分があり、これが結果的に文氏の安定した政権運営を下支えしていると言えるでしょう。

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