東南アジアのなかでも急速なデジタル化を遂げているミャンマーにおいて、長年の懸案事項であった「ネット上の文字化け」がついに解消へと動き出しました。これまでミャンマーのSNSやウェブサイトを閲覧すると、記号が並んだような判読不能な表示に遭遇することが珍しくありませんでした。このストレスフルな状況を打破するため、ミャンマー政府は2019年10月01日を期して、文字フォントの規格を世界基準である「ユニコード」へ統一するよう、官民へ向けて大々的な呼びかけを行っています。
なぜこれほどまでに文字化けが頻発していたのでしょうか。その背景には、世界共通の規格である「ユニコード」と、ミャンマー国内で独自に普及してしまった「Zawgyi(ゾージー)」という二つの規格の混在があります。ゾージーは、まだミャンマー語が世界基準に適合していなかった時代に、入力のしやすさを優先して生み出された独自のルールです。しかし、この二つには互換性が一切ないため、送る側と受け取る側のフォント設定が異なると、意味をなさない記号の羅列に変わってしまうという致命的な欠陥を抱えていたのです。
ここで専門的な言葉を補足しますと、ユニコードとは、世界中のあらゆる言語の文字に固有の番号を割り当て、どのコンピューター環境でも正しく表示させるための国際標準規格のことです。一方でゾージーは、いわば「ミャンマー独自のカスタマイズ仕様」であり、国際的なルールからは外れた存在でした。例えるなら、世界中で通じる「共通言語」を使おうとするグループと、特定の村だけで通じる「方言」を使い続けるグループが、ネットという同じ広場で会話をしようとして混乱が起きていたような状態と言えるでしょう。
この歴史的な大号令に対して、SNS上では「ようやく不便な生活から解放される」といった期待の声が上がる一方で、これまで使い慣れたゾージーからの移行に戸惑うユーザーも散見されます。特に過去の投稿や保存データが読めなくなることを危惧する意見も多く、ネット上では変換ツールの情報交換が活発に行われている様子です。新時代の幕開けには多少の痛みも伴いますが、多くの人々がこの変化を前向きに捉え、情報のバリアフリー化が進むことを心待ちにしている雰囲気がひしひしと伝わってきます。
編集者としての私の視点では、今回の統一はミャンマーが真に国際社会のIT基盤に接続するための「デジタル開国」であると感じています。独自規格に固執することは、短期的には便利かもしれませんが、長期的には海外からの投資や技術導入の障壁になりかねません。2019年10月01日という日付は、ミャンマーのインターネット史において、誰もが等しく情報を享受できる民主的なネットワークへと進化を遂げる、記念すべきターニングポイントとして記憶されることになるはずです。
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