iPhone 11 Pro登場でソニーの半導体事業に激震!3眼カメラが招く「物言う株主」との攻防戦

2019年09月11日未明、世界中が注目する中で米アップル社が新型iPhoneを発表しました。今回の目玉は何といっても、上位機種の背面に鎮座する「3眼カメラ」でしょう。スマートフォンの進化が踊り場を迎える中、カメラ性能は他社との差別化を図る最大の武器となっています。このトレンドが加速することで、実は日本のソニーが誇る半導体事業に、かつてないほどの追い風が吹き荒れようとしています。

ソニーの快進撃を支えているのは「CMOS(シーモス)センサー」と呼ばれる画像処理用の半導体です。これは光を電気信号に変える、いわばカメラの「目」にあたる重要な部品です。2019年09月06日、熊本県菊陽町にあるソニーの製造拠点では、黄色い光が灯るクリーンルーム内でウエハーが次々と処理されていました。現場の責任者が「フル生産が続いている」と語る通り、24時間体制での稼働が止まる気配はありません。

スポンサーリンク

スマホ販売の停滞を打ち消す「カメラ増殖」のインパクト

SNSでは「ついにタピオカみたいなカメラになった」とデザインへの驚きが広がる一方、写真のクオリティ向上を歓迎する声が目立ちます。中国のファーウェイが2018年に3眼スマホを投入して以来、アップルの追随によってこの流れは決定定的になりました。たとえスマホ自体の販売台数が伸び悩んでも、1台あたりのカメラ数が増えれば、センサーを供給するソニーの需要は幾何級数的に膨らむという計算が成り立ちます。

専門家の予測によれば、3眼以上のカメラを搭載したスマホの比率は、2018年のわずか1%から2022年には15%まで急増する見込みです。世界シェアで圧倒的な優位を誇るソニーにとって、これはまさに「勝機」以外の何物でもありません。しかし、この輝かしい成長シナリオが、皮肉にも外部からの厳しい要求を招く火種となっているのです。企業の成長を鋭く見守る投資家たちが、静かに動き始めています。

巨大ファンドが迫る「事業分離」とコングロマリットの壁

米国の著名投資家ダニエル・ローブ氏が率いるサード・ポイントは、ソニーに対して約1600億円もの巨額投資を行い、経営への発言権を強めています。彼らが突きつけた要求は、絶好調の半導体事業を本体から切り離して上場させる「スピンオフ」です。同ファンドは、多様な事業を抱えるソニーが「コングロマリット・ディスカウント」という状態に陥り、本来の企業価値が正当に評価されていないと指摘しています。

コングロマリット・ディスカウントとは、複数の事業を営む企業の時価総額が、各事業をバラバラにした際の価値の合計を下回ってしまう現象を指します。2020年度の利益予想に基づく分析では、他国の半導体大手が13倍程度の評価を得ているのに対し、ソニーは8倍に留まっています。事業を分離すれば、この評価の差が埋まり、株価が劇的に上昇するというのが、いわゆる「物言う株主」たちの冷徹な論理なのです。

編集者の眼:シナジーか独立か、ソニーが歩むべき王道

ソニー側は、2019年08月にオリンパス株を売却するなど一定の配慮を見せていますが、本丸である半導体の切り離しには慎重な姿勢を崩していません。十時CFOが語る通り、ゲームや映画、音楽といったエンタメ事業と半導体技術が融合することで生まれる「相乗効果(シナジー)」は、ソニーのアイデンティティそのものです。中核事業を安易に手放すことは、将来の成長の芽を摘むリスクも孕んでいると私は考えます。

単なる「部品メーカー」として独立する道も魅力的ですが、自社製品に最高のセンサーを載せ、クリエイターの創造力を刺激し続けることこそがソニーの真骨頂ではないでしょうか。投資家を納得させるには、数値上の効率性だけでなく、半導体を軸にグループ全体がどう進化するかという「夢」のあるビジョンを語る必要があります。カメラの数が増えるほど、ソニーの経営の舵取りもより複雑で、かつエキサイティングなものになりそうです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました