事務用品通販の国内最大手であるアスクルが、ガバナンス体制の立て直しに向けて力強い一歩を踏み出しました。同社は2019年09月12日、経営の透明性を確保するための要となる「指名・報酬委員会」を暫定的に設置したことを公式に発表しています。この背景には、同年8月に開催された株主総会において、筆頭株主であるヤフーの反対により独立社外取締役3名の再任案が否決されるという、異例の事態があったことは記憶に新しいでしょう。
そもそも「指名・報酬委員会」とは、役員の選任や報酬の決定プロセスを公正にするために、外部の視点を取り入れる仕組みを指します。今回の暫定体制には、新たに就任した吉岡晃社長のほか、ガバナンスの専門家である国広正弁護士や落合誠一氏、さらには独立社外監査役の安本隆晴氏や渡辺林治氏といった盤石の布陣が名を連ねました。SNS上では「経営陣と株主の対立を乗り越えられるのか」「ガバナンスの正常化に期待したい」といった熱い視線が注がれています。
同日に公表された2019年06月から2019年08月期の連結決算に目を向けると、最終損益は9億1000万円の黒字を達成しており、前年同期の赤字から見事なV字回復を果たしました。売上高も前年比4%増の978億円と好調を維持しています。主力である個人向け通販「LOHACO(ロハコ)」についても、2020年05月期には売上高535億円を見込むなど、成長への意欲は衰えていません。赤字脱却を目指すロハコの動向は、多くの投資家が注目するポイントです。
ヤフー・ZOZO連合とのシナジーがもたらす未来
決算発表後の取材に応じた吉岡社長は、企業価値の向上と健全なガバナンス体制の構築こそが最優先事項であると強調し、独立社外取締役の早期選任に強い意欲を見せました。筆者としては、株主との溝を埋めるだけでなく、いかにして独自の強みを守りつつ連携を深めるかが、今後のアスクルにとっての正念場になると考えています。経営の独立性と親会社との協力関係、この絶妙なバランスを保つことが、持続的な成長への鍵を握るに違いありません。
特に大きな話題を呼んでいるのが、ソフトバンク傘下のヤフーによるZOZO買収のニュースです。吉岡社長はこの件に関し、「シナジー(相乗効果)が出せる部分には積極的に協力したい」と、ZOZOとの連携に対して非常に前向きな姿勢を示しました。アスクルの物流網とZOZOのファッション性、そしてヤフーの集客力が融合すれば、日本のEC市場にこれまでにない革新的な体験がもたらされるでしょう。各社の強みが重なり合うことで、私たちの生活はより便利で豊かなものへと進化するはずです。
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