2019年09月12日、ファッションEC界に激震が走りました。衣料品通販サイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を運営するZOZOが、ソフトバンクグループ傘下のヤフーによるTOB(株式公開買い付け)を受け入れることで合意したのです。TOBとは、不特定多数の株主から市場外で株式を買い集め、経営権を取得する手法のこと。若者の圧倒的な支持を集めて急成長を遂げたZOZOですが、今まさに大きな転換点を迎えています。
SNS上では「前澤社長の退任は寂しいけれど、ヤフーとの連携でどう変わるのか楽しみ」「最近のZOZOは安売りイメージが強かったから、この合併でブランド価値が復活してほしい」といった期待の声が上がる一方で、出店ブランド側の視線は驚くほど冷ややかです。かつて「ネット界の伊勢丹」と称された面影は薄れ、過度な値引き戦略がブランドイメージを損なうとして、多くのアパレル企業が不信感を募らせているのが現状でしょう。
ブランド離反を招いた「ARIGATO」の誤算と自社サイトへの回帰
ZOZOの勢いに陰りが見え始めた要因の一つに、2018年12月25日から開始された有料会員向け割引サービス「ZOZOARIGATOメンバーシップ」があります。これは年会費や月会費を支払うことで、商品が常時10%引きになる仕組みでした。しかし、これが「ブランド価値を毀損する」として、オンワードホールディングスやミキハウスといった大手メーカーの相次ぐ撤退を招き、わずか半年でサービス終了に追い込まれたのです。
こうした状況下で、あえてZOZOと距離を置く「自社EC」への回帰が鮮明になっています。セレクトショップ大手のユナイテッドアローズは、2019年10月より通販サイトの運営を自社へと切り替える決断を下しました。また、マッシュホールディングスなどの3社も2019年11月に共同で新サイトを設立予定です。「モール型サイトではブランドの真の魅力を伝えきれない」という危機感が、独自路線の構築を加速させています。
地方百貨店と組む「ストライプ」の逆襲とEC戦国時代の行方
一方、対抗勢力として名乗りを上げたのが、アパレル大手ストライプインターナショナルです。同社は2019年09月12日、子会社が運営する「ストライプデパートメント」に地方百貨店が参画することを発表しました。大分県のトキハや金沢市の大和が加わり、配送や品揃えをストライプ側が代行する仕組みです。石川康晴社長は「対アマゾン、対楽天の構図を鮮明にし、新たな勢力を築く」と力強く宣言しました。
ヤフーという巨大な後ろ盾を得たZOZOですが、前澤友作前社長が会見で語った「飛躍的な成長」を実現するには、失ったアパレル各社からの信頼を取り戻すことが不可欠です。個人的な見解を述べれば、利便性や価格だけを追求する時代は終わり、これからは「そのブランドをどこで買いたいか」という物語性が重視されるはずです。ヤフー・ZOZO連合が単なるポイント経済圏に埋もれず、感性を刺激する場であり続けられるかが鍵となるでしょう。
コメント