米中貿易摩擦で揺れるベアリング業界、日本精工・内山社長が語る「電動化戦略」と投資分散の真意

2019年09月16日、世界的なベアリング大手である日本精工の内山俊弘社長が、激化する米中貿易摩擦を背景とした今後の投資判断について、極めて慎重かつ戦略的な展望を明かしました。現在、自動車業界は「電動化」という歴史的な転換期を迎えていますが、二大経済圏の対立は、技術開発の拠点選びや生産設備への投資計画に大きな影を落としています。単なる関税コストの問題に留まらず、次世代技術の主導権をどの国が握るのかという「技術覇権」の行方が、企業の命運を左右する状況にあるといえるでしょう。

こうした不透明な情勢下で、日本精工が特に注力しているのが、電気自動車(EV)の駆動部などに欠かせない「小径(しょうけい)ベアリング」です。これは軸受とも呼ばれる部品で、機械の回転部分の摩擦を減らして滑らかに動かす役割を担っています。EV化が進むと、従来よりも小型で高精度なタイプが大量に必要となるため、市場の急成長が確実視されています。しかし内山社長は、この有望分野における量産投資について、性急な決断を避けて慎重に見極める方針を強調しました。

投資先としての有力候補には、巨大な市場を抱える中国が依然として名を連ねているものの、現在は東南アジアなどへの分散も現実的な選択肢として浮上しています。内山社長は「1カ所だけに集中させるのではなく、リスクを回避するために拠点を分散させることも検討すべきだ」と語りました。SNS上では、この冷静な判断に対して「製造業の脱中国依存が進む象徴的な動きだ」といった反応や、「技術流出を防ぐためにも賢明な決断だ」と支持する声が数多く寄せられています。

筆者の個人的な見解としては、日本精工のこの柔軟な姿勢こそが、予測不可能なグローバル経済を生き抜く鍵になると考えています。特定の国にリソースを集中させることは効率的ではありますが、地政学リスクがこれほど高まった現代においては、一極集中は致命的な弱点になりかねません。伝統的な「ものづくり」の技術を守りつつ、変化し続ける国際政治の波を読み解く力は、今後あらゆる日本企業に求められる最も重要な資質の一つとなっていくのではないでしょうか。

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