日本政府は、私たちの暮らしの安全を支える原子力や、デジタル社会の心臓部である半導体といった重要分野において、外国資本による出資規制を劇的に強化する方針を固めました。2019年09月18日、政府はこれまで「10%以上」としていた株式取得時の事前届け出基準を、一気に「1%以上」へと引き下げる調整に入ったのです。このドラスティックな変更は、日本の高度な技術や機密情報が海外へ流出することを防ぐための、防衛策の要といえるでしょう。
この規制の根拠となるのが「外為法(外国為替及び外国貿易法)」です。これは、日本と海外との間で行われる資金移動や取引を管理する法律で、国家の安全を脅かすような投資に目を光らせる役割を担っています。これまでは、特定の重要業種で10%以上の株を持つ場合に審査が必要でしたが、今後はわずか1%の保有であっても、政府の厳しいチェックが入ることになります。SNSでは「日本の宝である技術を守るために当然の措置だ」と賛同の声が上がる一方、投資への影響を懸念する声も聞かれます。
技術流出を防ぐ「1%」の壁とサイバーセキュリティの重要性
なぜ「1%」という数字が選ばれたのでしょうか。実は会社法において、1%以上の議決権を持つ株主には、株主総会で議案を提案する権利が認められています。つまり、少量の株式を持つだけで、企業の経営方針や役員の選任に影響を与えることが可能になるのです。米中によるハイテク分野の覇権争いが激化する中、役員の派遣や事業売却の提案を通じて、日本の優れた知見が不適切に外部へ持ち出されるリスクを、政府は重く受け止めています。
2019年10月の臨時国会に改正案を提出し、2020年中の施行を目指す今回の動きは、1980年に対内投資が原則自由化されて以来、最大級の見直しとなります。かつて2008年には、電力大手Jパワーの株を買い増そうとした海外ファンドに対し、エネルギー安定供給の観点から中止命令が出された事例もありました。現代においては、物理的なインフラだけでなく、サイバー空間の安全性確保も喫緊の課題となっており、審査の網を広げることは時代の要請とも言えます。
投資促進と安全保障のバランス、問われる企業の透明性
一方で、規制の強化が「日本への投資を冷え込ませるのではないか」という懸念があるのも事実です。そこで政府は、純粋な資産運用を目的とするクリーンな投資家に対しては、審査期間を短縮したり免除したりする優遇措置も検討しています。締め付けるだけでなく、健全な投資を促すバランス感覚こそが、日本経済の活力を維持する鍵となるでしょう。私個人としても、この「アメとムチ」の使い分けが機能するかどうかが、政策の成否を分けると確信しています。
米国や欧州も中国を念頭に置いた厳しい規制を敷いており、日本だけが抜け穴になることは許されません。しかし、規制に守られることで日本企業が「ぬるま湯」に浸かり、自浄作用を失ってしまうリスクには注意が必要です。政府が制度の透明性を保つことはもちろん、企業側も自らの経営について投資家へ真摯に説明する責任がこれまで以上に問われます。守るべきものを守りつつ、開かれた市場であり続けるという、難しい舵取りが今まさに始まろうとしています。
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