2019年09月20日現在、日本は人口減少と少子高齢化という、かつてない歴史的な転換点を迎えています。KPMGコンサルティングの社長を務める宮原正弘氏が、自身の愛読書として紹介するのは、デービッド・アトキンソン氏の著書『日本人の勝算 人口減少×高齢化×資本主義』です。この本は、従来の経済モデルを少し修正するだけではもはや通用しないという、厳しい現実を私たちに突きつけています。
SNS上では「最低賃金の引き上げが生産性を高めるという視点が斬新だ」といった驚きの声や、「経営者の手腕が問われている」という身の引き締まるような反応が数多く寄せられています。アトキンソン氏は、消費税率の変更や外国人労働者の受け入れといった表面的な微調整ではなく、経済の根幹を成す「生産性」の向上こそが、日本が生き残るための唯一の道であると力強く説いているのです。
ここで言う「生産性」とは、労働者一人が一定時間内にどれだけの付加価値を生み出したかを示す指標を指します。本書の特筆すべき点は、膨大な海外の論文やデータを緻密に分析し、日本経済を輸出構造や企業規模といった多角的な視点から解剖している点でしょう。客観的な裏付けがあるからこそ、その主張には圧倒的な説得力が宿っており、読者の心に深く突き刺さるのではないでしょうか。
衝撃的な事実として、日本の人材評価は世界4位という極めて高い水準にありながら、生産性は28位に甘んじているという歪な構造が指摘されています。これほど優秀な人々が集まりながら、なぜ最低賃金も生産性も低いままなのでしょうか。著者は、この異常事態の原因は現場の労働者ではなく、むしろ経営者や政治家の判断ミスにあると断定しており、非常に辛口な論調を展開しています。
日本への愛が詰まった「教育」と「投資」への改革案
アトキンソン氏は、社会の大部分を占める社会人に対するスキルアップ支援や、生涯学習への投資が不可欠であると説いています。これは、単に知識を蓄えるだけでなく、時代の変化に対応できる能力を養う「リスキリング」の重要性を先取りしたものと言えるでしょう。同時に、現場だけでなく経営者自身も教育を受け、アップデートし続けることが、国全体の成長には欠かせません。
私は、この提言こそが停滞する日本経済に風穴を開ける劇薬になると確信しています。厳しい批判の裏側には、在日30年を超える著者が抱く「日本に再び輝いてほしい」という深い愛情が溢れているのを感じずにはいられません。耳の痛い指摘を真摯に受け止め、変革を恐れずに一歩を踏み出す勇気こそ、今の私たちに最も求められている資質なのかもしれません。
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