年齢を重ねるごとに足腰への不安が増し、大好きな旅行を諦めてしまうシニアの方は少なくありません。そんな課題を最先端のテクノロジーで解決しようとする、非常にワクワクする試みがスタートしました。旅行大手のクラブツーリズムと、パナソニックの子会社であるアトウン(ATOUN)がタッグを組み、歩行をサポートする装着型ロボットを活用した旅の実証実験を共同で実施したのです。
実証実験の舞台となったのは、豊かな自然と歴史が織りなす冬の京都です。2019年12月に開催された紅葉狩りツアーには約500人が参加し、そのうち8名のお客さまが最新の歩行支援ロボットを実際に着用して散策を楽しまれました。林業や介護の現場で使われるイメージが強いロボット技術ですが、ついに観光というエンターテインメントの領域へ本格的に進出する時代が到来したと言えるでしょう。
今回投入されたのは、アトウンが開発を進めている「HIMICO(ヒミコ)」というモデルの試作機です。これは一種の「アシストスーツ」であり、人間の筋肉や関節の動きを電気駆動のモーターで補助する画期的な衣服型装置を指します。本体の重量は約2.5キログラムと軽量に抑えられており、腰の機器と膝のサポーターをワイヤで結ぶ構造が特徴となっています。
内蔵されたセンサーが腰のひねりや前後左右の細かな動きを瞬時に感知し、歩くテンポに合わせてワイヤが伸縮します。実際に着用して歩いてみると、まるで誰かに優しく足を上へと引き上げられているかのような、不思議で心地よい感覚を味わうことができる仕組みです。この適度なサポートにより、歩行時の身体的な負担が大幅に軽減されます。
ツアーに参加した62歳の女性は膝の痛みに悩まされており、ハイキングの翌日はいつも激痛に襲われていたそうです。しかしこの日はアシストスーツの力を借りて、高山寺や400段もの階段がある神護寺など、起伏の激しい3時間の難コースを見事に踏破されました。平らな道でも明確な推進力を実感できたそうで、同行した夫も妻の歩くスピードの速さに驚きの笑顔を見せています。
SNS上でもこの取り組みは大きな話題を呼んでおり、「これがあればおじいちゃん、おばあちゃんとも一緒に遠出ができる」「技術の優しい使い道に感動した」といった好意的な反響が相次いでいます。単なる労働負担の軽減に留まらず、人間の「もう一度旅に出たい」という純粋な願いや、家族の思い出作りを叶えるために科学技術が優しく寄り添う姿は、多くの人々の胸を打ったようです。
数値的な効果としても、坂道を上る際のエネルギー消費量を約19%も抑制できるというデータが出ています。今回の京都ツアーの代金は9980円で、ロボットレンタルの有無による追加料金は発生していません。ユニバーサルツーリズム、すなわち高齢の方や障害を持つ方でも誰もが気兼ねなく観光を楽しめる環境作りに注力するクラブツーリズムだからこそ、実現できた英断だと言えます。
アトウンは今回のデータをもとに改良を重ね、2021年の市販化を目指す方針です。編集部としても、こうした技術はシニア層の生きがいを創出する最高のイノベーションだと確信しています。一歩を踏み出す元気をくれる「着るロボット」が、これからの日本の観光スタイルをより自由で、笑顔に満ちたものへ変えていく未来が非常に楽しみでなりません。
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