ビール業界の巨人が、物流現場の未来を大きく変えようとしています。アサヒグループホールディングス傘下のアサヒビールは、大阪府にある吹田工場へ電動アシストスーツを10台導入することを決定しました。2019年11月25日から本格的な運用が始まっており、現場で働く人々の身体的負担を劇的に軽減する試みとして、SNSなどでも「現場のヒーローを支える最新装備だ」と大きな期待が寄せられています。
今回導入された「アシストスーツ」とは、モーターや人工筋肉の力を使って人間の動作を補助するウェアラブルデバイスのことです。アサヒビールが採用したのは、ユーピーアール社が開発した「サポートジャケットEp+ROBO」というモデルで、動力付きでありながら約3.4キログラムという驚異的な軽さを実現しています。このスーツを装着すれば、重い荷物を持ち上げる際にかかる腰への負荷が、まるで魔法のようにスッと軽くなるでしょう。
腰痛リスクを激減させる驚きの補助力
ビールケースの重さを想像してみてください。500ミリリットル缶が24本詰まったケースは、1箱で約12キログラムから13キログラムにも達します。これを一日に何度も積み下ろしする作業は、ベテラン作業員であっても腰痛のリスクと隣り合わせです。しかし、この最新スーツを活用すれば、最大で10キログラム相当の補助力を得ることができます。作業員が実際に感じる重さは、わずか2キログラムから3キログラム程度にまで抑えられる計算です。
かつては、大規模な自動化設備による省人化が進められてきましたが、配送先ごとに細かく製品を仕分ける作業など、どうしても人間の手が必要な工程は残ります。特に近年は消費者の好みが多様化し、出荷単位が小口化しているため、作業の複雑さは増す一方でした。こうした状況下で、人の力をテクノロジーで増幅させるというアプローチは、非常に理にかなった賢い選択であると私は確信しています。
「ホワイト物流」の実現に向けた大きな一歩
この取り組みの背景には、深刻な人手不足と作業員の高齢化という社会課題が存在します。アサヒグループは、物流現場の環境を改善し、誰もが健やかに働ける「ホワイト物流」の推進を掲げています。ホワイト物流とは、トラック運転手や倉庫作業員の労働条件を改善し、持続可能な物流システムを構築する運動のことです。過酷な労働環境というイメージを払拭することは、業界全体の将来にとって極めて重要な意味を持つはずです。
さらにアサヒビールは、ライバル関係にあるビールメーカー各社とも協力し、鉄道や船舶を活用する「モーダルシフト」やパレットの共同利用にも取り組んでいます。競争すべきは製品の味であり、物流というインフラ面では手を取り合うという姿勢は、現代の企業経営において模範となるべき姿でしょう。吹田工場での検証結果を経て、このアシストスーツが全国の工場へと普及し、日本の物流現場がより優しい場所へと進化していくことを心から願っています。
コメント