物流危機の救世主「ホワイト物流」とは?ビール大手の共同配送や翌々日配送が変える日本の未来

日本の物流が今、劇的な転換期を迎えています。政府が主導する「ホワイト物流」推進運動に対し、製造業を中心とした多くの企業が賛同の声を上げているのです。2019年04月に、国土交通省、経済産業省、農林水産省の3省が上場企業など約6300社に呼びかけたことで始まったこのプロジェクトは、深刻なトラック運転手不足や環境問題への強力な対抗策として期待されています。

2019年09月30日時点では、すでに559もの企業や団体が「自主行動宣言」を提出しました。これは、単なる理想論ではなく、各企業が現場の実情に合わせた具体的な改善策を約束したものです。SNS上でも「物流を止めないための英断だ」「無理な配送を強いてきた消費者側も意識を変えるべき」といった共感の声が広がっており、業界の枠を超えた大きなうねりを感じさせます。

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ライバルが手を組む!ビール4社が挑む「呉越同舟」の効率化

特に注目を集めているのが、かつては激しいシェア争いを繰り広げていたビール業界の革新的な取り組みです。アサヒ、キリン、サントリー、サッポロの大手4社は、2019年11月から「パレット」と呼ばれる荷役台の共同回収を全国規模で展開し始めました。パレットとは、荷物を載せてフォークリフトで運ぶための木製やプラスチック製の台のことですが、これを各社バラバラに回収する手間がこれまでは大きな負担となっていました。

2018年11月に東北エリアから試験的に開始されたこの連携は、輸送距離の短縮により二酸化炭素(CO2)の排出量を従来比で約5割も削減できると試算されています。また、近畿・中国地方から九州向けに「ビール専用貨物列車」の運行も開始されました。これは、トラックから鉄道や船舶へと輸送手段を転換する「モーダルシフト」の象徴であり、大型トラック2400台分もの負荷を軽減する画期的な試みと言えるでしょう。

「翌々日配送」が常識に?食品業界が取り組むリードタイム延長

さらに、私たちの食卓を支える食品業界でも大きな変化が起きています。味の素やネスレ日本、日清食品ホールディングスなどは、これまで受注の「翌日」に行っていた配送を「翌々日」へと延ばす「リードタイムの延長」に踏み切りました。リードタイムとは、商品の注文を受けてから納品されるまでの待ち時間を指します。2020年01月にはキユーピーもこの動きに加わる予定であり、業界全体に浸透しつつあります。

これまでは欠品を防ぐため、確定前の注文を見込んでトラックを過剰に手配することもありました。しかし、配送に2日の猶予が生まれることで、メーカー側は正確な物量を把握し、必要な人員と車両だけを効率的に確保できるようになります。三菱食品などの卸大手もこの動きを支持しており、菓子業界の江崎グリコやカルビーも検討を開始しています。ゆとりある物流の構築こそが、持続可能な社会への第一歩となるはずです。

個人的な意見を申し上げれば、この「ホワイト物流」は、長年現場を支えてきたドライバーの労働環境を守るための「最後の手札」だと考えています。私たちはこれまで、24時間365日いつでも届く便利さを当然のように享受してきましたが、その裏には現場の疲弊がありました。多少のリードタイム延長を消費者が温かく受け入れることが、結果として日本の食生活とインフラを守ることにつながるのではないでしょうか。

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