電子書籍を「回し読み」する新時代へ!大日本印刷や集英社が仕掛けるシェアリング読書の魅力とは

紙の本を友人に貸したり、教室で回し読みしたりした経験は誰にでもあるはずです。しかし、個人のアカウントに紐付く電子書籍の世界では、こうした「共有」はこれまで難しいとされてきました。そんな常識を覆す画期的な試みが、今まさに大きな注目を集めています。

大日本印刷は、丸善ジュンク堂書店や文教堂と連携したハイブリッド型総合書店「honto」において、2019年09月09日から2019年09月19日にかけて興味深い実証実験を実施しました。これは電子書籍を「知人に贈る」感覚で共有できる、全く新しい読書スタイルの提案です。

今回の実験対象となったのは、新井紀子氏のベストセラー『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』です。特設ページから本作を購入すると、友人にシェアできる専用の試読URLが発行されます。受け取った友人は、会員登録とアプリの準備だけで、7日間全ページを無料で堪能できる仕組みです。

SNS上では「電子書籍なのに貸し借りができるのは画期的」「面白い本をすぐに友達と共有できるのが嬉しい」といった好意的な反響が広がっています。デジタル特有の孤立した読書体験が、このシステムによって「繋がり」を生む社交的なイベントへと進化を遂げたといえるでしょう。

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紹介者にもメリット!広がる口コミの輪と集英社のユニークな挑戦

このサービスの秀逸な点は、単なる善意に留まらない報酬設計にあります。紹介された友人が作品を気に入り、正式に有料版を購入すると、紹介者には1冊につき300ポイントの「hontoポイント」が還元されます。読者自身がインフルエンサーとして活躍できる、現代的な仕組みです。

一方、集英社も2019年春より「マワシヨミジャンプ」というユニークなアプリを始動させました。これはスマートフォンのGPS(位置情報システム)を活用したサービスで、特定の場所に赴くと、そこに落ちている電子書籍を「拾って」読めるという遊び心満載の体験を提供しています。

GPSとは、衛星からの電波を受信して現在地を特定する技術のことです。この技術により、リアルの街歩きとデジタル読書が融合しました。「あそこの公園にジャンプが落ちていた!」という宝探しのような感覚が、多くのユーザーの間でコミュニティの一体感や話題を生み出しています。

出版科学研究所のデータによれば、2019年01月から2019年06月の電子出版市場は1372億円に達し、前年同期比で22%もの急成長を記録しました。市場が拡大する中で、各社が「所有」から「共有」へと舵を切ったことは、電子書籍の普及をさらに加速させるターニングポイントになるはずです。

編集者の視点から言えば、この「回し読み」文化のデジタル化は、コンテンツの埋没を防ぐ最強のSEO対策とも呼べるでしょう。機械的なレコメンドではなく、信頼できる誰かの「これ面白いよ」という熱量こそが、今の時代に最も求められている読書の入り口なのかもしれません。

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