ロースクール卒業後の厳しすぎる現実:米国名門校も直面する「就職難」と「学費高騰」の波【イェシーバー大学カルドゾ・ロースクール】

米国ニューヨークの中心部に位置する名門、イェシーバー大学カルドゾ・ロースクールのヴァル・ミテベリ副学部長は、現在の米国の法科大学院が直面する厳しい現実について「米国でもロースクールは学生と、その就職先の確保に苦労している」と打ち明けました。これは、司法試験の合格率低迷によって志願者が激減し、約半数が撤退に追い込まれた日本の法科大学院だけの問題ではないということを示唆しているといえるでしょう。

米国では、法律の専門家を目指すロースクール(法科大学院)を修了した学生のうち、常勤の雇用に就けるのは全体の6割程度ではないかとも報じられており、非常に厳しい就職状況にあります。さらに、米国のロースクールは学費が非常に高額なため、多額の借金を背負う学生が後を絶たないという深刻な問題も抱えているのです。この状況は2008年のリーマン・ショック以降、全米的な傾向として志望者の減少を招いていると考えられます。

法曹(ほうそう)界、つまり弁護士や検察官、裁判官といった法律に関わる職業を目指す若者たちにとって、ロースクールへの進学は大きな賭けとなっているのが現状です。学費を払い、多大な努力をして法律の専門教育を受けても、卒業後に安定した職を得られる保証がないというのは、非常に心苦しい問題だと思います。SNS上でも、米国のロースクール卒業生による「借金だけが残った」「就職先が見つからず絶望的」といった悲痛な声が散見されており、この問題の深刻さがうかがえます。

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デジタル時代を生き抜く専門教育の強化が鍵

しかしながら、イェシーバー大学カルドゾ・ロースクールは、この厳しい逆風の中で独自の魅力を磨き、学生確保に努めているようです。同ロースクールは特に知的財産教育の分野で高い評価を得ており、従来の特許法などに加えて、近年では「ブロックチェーン」や「データ、プライバシー関連法」といった最先端のテーマに関する授業も充実させています。ここでいうブロックチェーンとは、暗号技術を用いて取引履歴を鎖のようにつなぎ、分散的に記録・管理する技術のこと。デジタル社会における新たな法的な課題に対応できる法律家を育成しようという、強い意志が感じられます。

ニューヨークという地理的な優位性も最大限に生かし、「魅力的なインターンの機会を学生に提供し、常勤雇用が得られるよう努めている」とミテベリ副学部長は説明しています。これは、学校側が単に教育を提供するだけでなく、学生の将来的なキャリア形成、つまりは就職支援にまで責任を持って取り組んでいるという姿勢の表れでしょう。法律を取り巻く環境が日々変化し、専門知識の陳腐化が早まる現代において、このように市場のニーズを捉えた教育と、実践的な就職支援を両輪で展開することは、日本の法科大学院にとっても学ぶべき点が多いはずです。

ロースクールを志望する学生の減少は、将来の法曹界の担い手が細ることを意味します。社会の公正を保ち、人々の権利を守る重要な役割を担う法律家を育成するためには、教育機関と社会全体が協力して、学生が安心して学び、キャリアを築ける環境を再構築することが急務ではないでしょうか。イェシーバー大学カルドゾ・ロースクールが2019年6月17日時点で取り組んでいるような、時代に即した専門教育の強化と、積極的なキャリアサポートこそが、この難局を乗り越える重要な一手となるでしょう。

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