5Gでスポーツ観戦は激変する?ソフトバンクのプレサービスで見えた「遅延」の正体と未来への挑戦

次世代の通信革命として期待が集まる「5G」。その実力を体感できる貴重な機会が、2019年8月22日から25日にかけて、さいたまスーパーアリーナで開催された「バスケットボール日本代表国際試合」で提供されました。ソフトバンクが仕掛けたこのプレサービスは、まさに「未来のスポーツ観戦」を先取りする試みです。会場では最新の5Gネットワークを活用し、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、さらには自由視点映像を楽しめるタブレット端末が用意され、多くのファンが詰めかけました。

今回の目玉は、5Gの「低遅延(通信のタイムラグが極めて少ないこと)」を活かした没入体験です。具体的には、VRヘッドセットでコート上の視点を自由に切り替えたり、ARグラス越しに実際の試合へデータ映像を重ねたりする先進的な試みが行われました。SNS上でも「これまでにない臨場感だ」と期待を寄せる声が上がっています。しかし、実際に体験したユーザーからは「映像の遅れが気になる」という意外な本音も漏れていました。現場では、リアルな歓声と映像の間に数秒から10秒ほどのズレが生じていたようです。

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「超高速・低遅延」の5Gなのに、なぜタイムラグが起きたのか?

5Gの理論上の遅延はわずか1ミリ秒(1000分の1秒)と言われていますが、なぜ今回のプレサービスでは数秒単位の遅れが目立ったのでしょうか。調査を進めると、意外な原因が浮かび上がってきました。ソフトバンクによれば、5Gのネットワーク自体に問題があったわけではなく、実は「映像を作る側」の処理に限界があったというのです。専門用語で「エンコーダー」と呼ばれる、撮影した映像をデジタルデータに変換する装置の処理能力が、5Gのスピードに追いついていなかったことが大きな要因とされています。

例えば、30台ものカメラを駆使して自由自在な視点映像を作り出すには、膨大な計算処理が必要です。現在の最高峰のエンコーダーをもってしても、リアルタイムで完璧な映像を届けるには一歩及ばなかったのが実情でしょう。しかし、ソフトバンクの担当者は「今後の技術革新によって、ほぼリアルタイムの体験は十分に可能だ」と力強く語っています。通信インフラだけでなく、周辺機器の進化が揃って初めて、私たちは本当の意味での「未来」を手にすることができるのです。

今回の5Gプレサービスは、未来への「第一歩」に過ぎません。実際に現場で体験したユーザーの「タイムラグが気になる」という率直な意見は、今後の技術向上に向けた貴重なフィードバックとなったはずです。次世代通信の幕開けにおいて、インフラの進化が周辺機器に先行している現状は非常に興味深いと言えるでしょう。2019年9月24日、ソフトバンクが5G商用化を見据えて実証実験を加速させる中、私たちは通信技術がスポーツ観戦のあり方を根底から変えていく瞬間を目の当たりにしています。

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