いま中国の街角で、中身が分からないミステリアスな小箱が社会現象を巻き起こしています。「盲盒(マンフー)」と呼ばれるこのアイテムは、箱を開けるまでどのアートトイが入っているか分からないワクワク感が最大の特徴です。日本で親しまれている「ガチャガチャ」や食玩に近い仕組みですが、その熱狂ぶりは想像を絶するものがあります。特にトレンドに敏感な20代の女性たちが、この小さな人形たちに心を奪われているのです。
「盲盒」とは、文字通り「ブラインドボックス」を意味する専門用語です。特定のシリーズには通常12種類ほどの異なるデザインが用意されており、中には出現確率が極めて低い「シークレット」と呼ばれる希少なキャラクターも存在します。この「あと一つでコンプリートできるのに」というコレクター心理を巧みに突いた戦略が、若者たちの購買意欲を激しく刺激しているのでしょう。
SNSで拡散される開封の儀と高騰する二次市場
2019年10月11日現在、SNS上では購入した箱をその場で開封する動画、いわゆる「開封の儀」が次々と投稿され、大きな反響を呼んでいます。ネット上のコミュニティでは、お目当ての人形を引き当てた喜びや、お互いの重複分を交換するやり取りが活発に行われてきました。こうしたデジタル上での繋がりが、単なる玩具の枠を超えたコミュニティ文化へと進化を遂げている点は非常に興味深い現象だと言えます。
しかし、このブームは純粋な収集欲だけに留まりません。希少価値の高い人形については、ネットオークションなどで定価の約40倍という驚くべき価格で取引されるケースも報告されています。もともとは手頃な価格で楽しめる娯楽であったはずが、投資や転売の対象として過熱している側面もあり、社会的な注目を集める大きな要因となっているのです。
筆者の視点としては、この「盲盒」ブームは現代人の「偶然性への渇望」を映し出しているように感じます。何でも検索で答えが出る時代だからこそ、開けるまで分からないというアナログな体験が、日常に小さな刺激を与えてくれるのでしょう。ただし、射幸心を煽りすぎる側面には注意が必要ですが、魅力的な造形のアートトイが文化として定着していく過程は、今後も目が離せそうにありません。
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