2019年10月13日、京都競馬場に集まったファンは、新たなる女王の誕生をその目に焼き付けることとなりました。春のクラシック戦線では、4月7日の桜花賞、そして5月19日のオークスの両舞台で3着と、あと一歩のところで栄冠を逃し続けてきたクロノジェネシス。悔しさを糧に夏を越した彼女が、ついに最後の一冠である「秋華賞」を圧倒的な力で制したのです。
SNS上では、レース直後から「強すぎて鳥肌が立った」「春とは別馬のようなオーラ」といった驚きの声が溢れ返っています。道中の立ち回りは、まさに非の打ち所がない完璧なものでした。鞍上の北村友一騎手が「理想的な位置」と振り返った通り、1番人気のダノンファンタジーを射程圏に入れながら、先行集団のすぐ後ろで機を窺う冷静なレース運びを披露したのです。
常識を覆した「ぶっつけ本番」と20キロ増の衝撃
今回の勝利を語る上で欠かせないのが、5カ月ぶりという「直行ローテ」の選択です。これは前哨戦を使わずに本番へ挑む調整方法ですが、かつては無謀とされたこの手法も、近年の外厩施設の充実により主流となりつつあります。2018年の勝ち馬アーモンドアイと同様の臨戦過程は、生産界の巨人・ノーザンファームが誇る育成力の自信の表れと言えるでしょう。
斉藤崇史調教師を驚かせたのは、馬体重が春から20キロも増加していた点です。春のシーズンは「追い切り」と呼ばれる本番に向けた強い練習を重ねるたびに、食欲が落ちてしまう繊細な面がありました。しかし、夏を経て心身ともにタフになった彼女は、厳しい調教にも音を上げることなく、本来持っている潜在能力を最大限に引き出すことに成功したのです。
競走馬にとって、体重増は時に「太りすぎ」と懸念されますが、彼女の場合は純粋な「地力の強化」を意味していました。直線の入り口で進路を外に取ると、目の覚めるような末脚が炸裂します。先行馬たちをごぼう抜きにするその加速力は、まさに世代ナンバーワンの証明でした。次走は古馬と激突するエリザベス女王杯、快進撃はまだ始まったばかりです。
個人的には、近年の育成技術の進化に改めて感銘を受けました。かつての競馬常識では考えられなかった調整法が、こうして確実に結果へと結びついているのは、関係者の不断の努力があってこそでしょう。クロノジェネシスが見せた力強い走りは、単なる一勝以上の重みを持っており、歴史に名を刻む名牝への階段を駆け上がり始めたと確信しています。
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