震災後の危機をチャンスに!三陸ホヤが挑む国内消費拡大と「海のパイナップル」の魅力再発見

東日本大震災以前は、その生産量の約7割を韓国へ輸出していた三陸産のホヤですが、震災後の輸出停止により、今、国内のファン開拓が喫緊の課題となっています。ホヤの流通量が国内で余り気味となり、浜での取引価格を示す「浜値(はまね)」が低迷している現状があるからです。主産地のひとつである宮城県は、この状況を打開し、ホヤの国内消費量を現在の約3倍となる2万トンにまで増やすという大きな目標を掲げ、さまざまな取り組みを積極的に展開しています。

その取り組みのひとつとして、2019年6月、関東では初となる大規模なホヤのイベント「宮城のほや祭り」が、さいたま市の大宮駅前で開幕しました。このイベントでは、採れたてのホヤや、加工品など30種類以上が勢揃いし、訪れた人々の注目を集めています。漁師の方々がホヤのさばき方や美味しい食べ方を実演し、試食も振る舞うなど、ホヤの魅力を最大限に伝える工夫が凝らされている様子です。この祭りは、同年6月23日まで開催される予定で、首都圏の消費者にとって、新鮮な三陸ホヤの味を知る絶好の機会を提供しています。

ホヤの最も美味しい「旬」は5月から8月にかけてで、この時期は大きく肉厚になり、甘みが増すのが特徴です。三陸地方では、これを刺し身として味わうのが一般的ですが、ホヤは鮮度が落ちるのが非常に早いため、これまでは産地以外へ出回ることが少ない食材でした。ホヤは、その見た目から「海のパイナップル」とも呼ばれますが、この新鮮なホヤを、いかに産地以外でも楽しんでもらうかが、国内での消費拡大の鍵を握っていると言えるでしょう。

また、韓国が震災後にホヤの輸入を停止した問題は、日本が世界貿易機関(WTO)に提訴したものの、2019年春に逆転敗訴となり、輸出再開の道は遠のいてしまいました。これにより、現在のホヤの浜値は1キロあたり90円前後と、前年と比べても約1割安くなっている状況です。このままでは、ホヤ漁を営む漁師の方々の生活や、漁場そのものを守ることが難しくなってしまうため、国内でホヤの消費を拡大していくことが、大変重要な課題となっているのです。

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新鮮な美味しさを全国へ!新たな物流と体験型企画の挑戦

こうした状況のなか、宮城県は、ホヤの「高鮮度」な状態を保ったまま産地以外へ届けるための、画期的な試みをスタートさせます。それが、2019年7月から始まる、新幹線を利用した「朝どれホヤ」の関東への出荷です。これは、鮮度が命であるホヤを、より早く、新鮮なまま消費地に届けるための、まさに知恵を絞った新しい物流の形と言えるでしょう。この取り組みによって、これまで鮮度の問題でホヤを食べる機会の少なかった地域の方々も、その美味しさを堪能できる可能性が高まります。

また、宮城県の女川町観光協会などは、旅行を通じて漁場を見学したり、地元の料理を楽しんだりできる「女川ほやの旅」を企画し、体験型の企画も打ち出しています。さらに、同年6月末からは九州で、秋にはアメリカのニューヨークでもホヤのフェアを準備するなど、国内にとどまらず、新たな市場の開拓にも意欲を見せているようです。消費者団体の「ほやほや学会」会長である田山圭子さんは、「国内消費量が2万トンに増えれば、漁師も生計をたてられる」と期待を込めて語っています。

この消費拡大への取り組みは、ホヤ漁師の方々の間でも大きな熱意をもって受け止められています。漁師の渥美貴幸さんは、「ただ『困っている』と言うだけでなく、ホヤが持つ本来の魅力を、自分たちから積極的に伝えていきたい」と意気込みを見せています。韓国への輸出が途絶え、厳しい状況にある今だからこそ、三陸ホヤが持つ「真の魅力」を国内の消費者に再認識してもらう絶好のチャンスだと私は考えます。ホヤはその独特の風味と食感で、一度食べると忘れられない、癖になる美味しさがあります。この危機を乗り越え、国内でホヤが「国民食」の一つとして定着していくことを心から願っています。

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