オフィス機器の巨人として知られるリコーが、巨大市場・中国で大きな勝負に出ようとしています。現在、約600億円規模となっている中国市場での売上高を、2023年3月31日までの期間で一気に約7割増となる1000億円まで引き上げる野心的な計画を打ち出しました。今回の戦略で最も注目すべき点は、その収益の柱を従来の「紙への印刷」から大きくシフトさせていることでしょう。
リコーが描く未来図では、目標とする1000億円の売上のうち、実に6割を環境分野や製造技術関連で稼ぎ出すとしています。これは、これまで同社の経営を支えてきたオフィス向け複合機、いわゆるコピー機やプリンターの機能が一体となった機器に依存しない、新しい収益構造への転換を意味します。ペーパーレス化が進む現代において、この決断は非常にスピーディーで理にかなった動きだと感じます。
輸入博覧会を舞台に、革新的な「非オフィス技術」を世界へ披露
その試金石となるのが、2019年11月05日から上海で開催される「中国国際輸入博覧会」への出展です。会場ではお馴染みの複合機やカメラだけでなく、溶剤を使用せずに汚れを落とす洗浄装置や、部品の欠陥を瞬時に見抜く外観検査装置といった、製造業を支える高度なソリューションが並びます。これらの技術は、リコーが持つ精密な光学・画像処理技術の賜物であり、非常に高い競争力を秘めています。
単に製品を展示するだけでなく、現地企業とのパートナーシップ構築や、中国ならではの鋭いニーズを肌で感じ取ることが、この出展の大きな狙いとなります。SNS上では「リコーが洗浄装置まで作っているのか」という驚きの声と共に、「多角化のスピード感がすごい」と、その企業変革の姿勢を支持するコメントが目立っており、投資家やユーザーからの期待値の高さが伺えます。
中国市場に特化した精鋭チームが切り拓く、エネルギー事業の可能性
同社は実行力を高めるため、2019年04月01日に「中国総合戦略タスクフォース」という専門チームを社内に発足させました。これは、各部署に担当者を配置し、国境や部署の壁を越えて迅速な意思決定を行うための体制です。こうした組織改革は、変化の激しい中国市場において、競合他社に先んじるための強力な武器となります。現場の熱量を経営に直結させる仕組み作りは、日本企業の成功モデルになるはずです。
実際の成果も現れ始めており、2019年01月には再生可能エネルギー関連の新興企業と提携し、太陽光発電の保守事業にも参入しました。オフィスの中から外へ、そして環境インフラへと領域を広げるリコーの挑戦は、まさに第二の創業期と言えるでしょう。単なる事務機メーカーから「社会課題を解決するテクノロジー企業」へと脱皮する姿は、これからの製造業が進むべき一つの正解を提示しているように思えてなりません。
コメント