私たちのオフィスや店舗で、毎日のように当たり前のように働いている「事務機器」という存在。これらは単に書類をコピーするだけの機械ではありません。スキャナーやファクス、さらにはネットワーク連携までをこなす「複合機」は、ビジネスの円滑な進行を支える心臓部としての役割を担っているのです。
事務機器の歴史は驚くほど古く、1955年にアメリカのゼロックス社が「ゼログラフィー」と呼ばれる静電複写技術を実用化したことから始まりました。この魔法のような技術は瞬く間に世界を席巻し、その後はキヤノンやリコーといった日本メーカーが、その緻密な技術力で市場をリードし続けてきたのは、私たち日本人の誇りとも言えるでしょう。
技術の粋を集めた日本勢の独壇場
紙を一枚ずつ正確に送り出す給紙機構や、トナーを瞬時に紙へ固着させる定着技術など、複合機には相反する精密なプロセスが凝縮されています。日本企業はこれらの「摺り合わせ」を得意とし、世界中のオフィスに高品質な製品を届けてきました。SNS上でも「日本の複合機は壊れにくい」といった、その信頼性の高さを称賛する声が散見されます。
しかし、現代のデジタルシフトはこの牙城に大きな変化を迫っています。スマートフォンやPCの普及により、情報を紙で出力する機会が激減する「ペーパーレス化」の波が押し寄せているのです。かつては情報の記録に不可欠だった紙が、今やデータとしてクラウドで共有される時代へと移り変わっています。
立ちはだかる逆風と次世代への模索
具体的なデータを見ると、その厳しさは明らかでしょう。米IDCの調査によれば、2018年におけるプリンターや複合機の世界出荷台数は約9900万台まで落ち込んでいます。これは、ピーク時とも言える2011年と比較して、およそ21%も減少している計算になり、市場の縮小は誰の目にも明らかな事実として突きつけられています。
さらに、2019年11月06日現在の世界的な景気減速は、追い打ちをかけるように企業活動のトナー消費やメンテナンス需要を低下させています。私は、事務機器メーカーにとって今こそが正念場であると考えています。単なる「ハードウェア売り」から、データを活用した「ソリューション提案」へ脱皮できるかが、生き残りの鍵を握るはずです。
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