浸水の北陸新幹線、全10編成を廃車へ。JR東日本・JR西日本が台風19号被害に伴う苦渋の決断と復旧への決意を発表

2019年10月の台風19号は、各地に甚大な爪痕を残しましたが、鉄道ファンや利用者にとっても衝撃的なニュースが飛び込んできました。JR東日本は2019年11月6日、長野市にある車両センターで浸水被害に遭った北陸新幹線の全10編成を廃車にすることを正式に決定しました。泥水に深く浸かった車両たちの姿はSNSでも拡散され、「胸が締め付けられる」「復活してほしかった」といった悲しみの声が相次いでいます。

今回、廃車の対象となったのは、JR東日本が所有する「E7系」8編成と、JR西日本の「W7系」2編成の合計120両にのぼります。帳簿上の価値だけでも、JR東日本分が約118億円、JR西日本分が約30億円という巨額な損失となる見込みです。このように本来の価値から差し引く形で損失を処理することを、会計用語で「特別損失」と呼びます。両社は2020年3月期の決算において、この多額の損失を計上する方針を固めました。

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高コストな修理を避け、安全と信頼を優先する決断

水に浸かった精密機器の修繕は極めて困難であり、仮に修理を試みたとしても、将来的な故障リスクを完全に拭い去ることはできません。そのため、一部の再利用可能な部品は確保しつつも、車両そのものは新造したほうが安全面でもコスト面でも合理的であると判断されたのでしょう。多くの鉄道愛好家が「再起」を願っていましたが、公共交通機関としての安全性を最優先したこの決断は、非常に賢明で誠実な対応であると感じられます。

現在、北陸新幹線は暫定的な運用により、通常時の約8割という運行本数で持ち堪えている状況です。しかし、JR側は2020年3月末までには、台風被害に遭う前の運行レベルへ完全に復旧させるという力強い目標を掲げています。失われた車両の穴を埋めるのは容易ではありませんが、上越新幹線向けの新造車両を北陸に回すなどの柔軟な対策が期待されており、復興への足取りは着実に進んでいくに違いありません。

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