2019年11月2日、横浜国際総合競技場は熱狂の渦に包まれました。ラグビーワールドカップ2019日本大会のフィナーレを飾る決勝戦が行われ、南アフリカが32対12というスコアでイングランドを下し、見事に頂点へ登り詰めました。これは2007年大会以来、3大会ぶり3度目の快挙であり、優勝回数でニュージーランドと並ぶ最多タイ記録となります。
今大会の南アフリカは、まさに不屈の精神を体現したチームといえるでしょう。1次リーグ初戦で強豪ニュージーランドに屈したものの、そこから見事な立て直しを見せました。実は、過去の大会において一度でも敗戦を喫したチームが優勝した例はなく、今回の戴冠はワールドカップ史上初の歴史的快挙となりました。
準々決勝では、快進撃を続け初の8強入りを果たした日本代表の夢を阻んだ彼らですが、その実力は本物でした。SNS上では「日本を倒した南アフリカには、どうしても優勝してほしい」といったエールや、「あの強固な守備はもはや壁だ」といった驚嘆の声が相次ぎ、日本のファンの心をも掴んでいたのが印象的です。
FW戦を制した圧倒的なフィジカルと華麗なトライの競演
試合は2007年大会と同じ顔合わせとなりましたが、主導権を握り続けたのは南アフリカでした。特筆すべきは「FW(フォワード)戦」での圧倒的な優位性です。ラグビーにおけるFWとは、スクラムやラインアウトを担う前線の選手たちのことで、彼らが密集戦でイングランドに強烈なプレッシャーをかけ続け、相手の焦りを誘いました。
司令塔であるSO(スタンドオフ)のポラード選手は、精密機械のようなキックで4本のPG(ペナルティゴール)を沈め、前半を12対6とリードして折り返します。後半に入ると、マピンピ選手とコルビ選手という両翼のWTB(ウィング)が、鮮やかなステップで次々とトライを奪い、追いすがるイングランドを突き放す展開となりました。
イングランドは2003年以来の優勝を目指しましたが、南アフリカの堅守を崩せず、フランスと並ぶ最多3度目の準優勝に終わりました。私は、この結果こそが南アフリカの徹底した「勝負への執着心」の表れだと感じます。個の力だけでなく、国を背負う誇りが、あの凄まじいタックルの一撃一撃に込められていたのではないでしょうか。
今大会の個人成績では、計69得点を挙げたポラード選手が得点王に、ウェールズのアダムズ選手が7トライでトライ王に輝きました。44日間にわたり日本中を熱狂させた夢の宴は、南アフリカの歓喜とともに幕を閉じます。この大会が残した「ノーサイド」の精神は、きっとこれからのスポーツ界に大きな遺産を残すことでしょう。
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