2019年11月03日、東京・渋谷の新しいランドマークであるLINE CUBE SHIBUYAにて、フェンシング全日本選手権個人戦の最終日が開催されました。会場が熱狂の渦に包まれる中、男子エペ決勝ではアジア王者の山田優選手(自衛隊)が、世界ランキング1位に君臨する絶対王者・見延和靖選手(ネクサス)と激突。手に汗握る攻防の末、15対12で山田選手が勝利を収め、2年ぶり2度目の栄冠に輝きました。
今回、山田選手が挑んだ「エペ」とは、頭から足先まで全身が有効面となる種目です。先に突いた方にポイントが入る極めてシンプルかつスリリングな競技性が魅力ですが、同時に高度な戦略が求められます。普段から練習を共にする見延選手は、いわば手の内を知り尽くした宿敵。圧倒的なリーチと体力を誇る世界1位に対し、山田選手はあえてリスクを承知で懐へ飛び込む「至近距離での勝負」を選択しました。
試合では、自ら仕掛けることで同時突きを誘発し、着実にスコアを積み重ねる冷静な試合運びが光りました。SNS上では「世界最強を相手に真っ向勝負で勝つ姿が格好良すぎる」「東京五輪に向けて日本フェンシング界のレベルが爆上がりしている」といった驚きと称賛の声が溢れています。2019年06月のアジア選手権制覇に続くこの勝利は、彼が名実ともに世界のトップ層に食い込んでいる証と言えるでしょう。
特筆すべきは、ピストと呼ばれる試合場の脇で彼を支えた妻・里衣さんの存在です。里衣さんは2018年度の同大会女子エペ王者でもあり、技術と精神の両面で夫を鼓舞しました。五輪を翌年に控えた重要な局面で「妻にサポートしてほしい」と願った山田選手の想いが、家族で掴み取った最高の結末を引き寄せたのです。心技体が完璧に噛み合った今の彼なら、来たる大舞台でも日本中に感動を届けてくれるに違いありません。
フルーレ・サーブルでも新星と実力者が躍動
同日行われた他種目も見逃せません。「フルーレ」は、胴体のみを有効面とするフェンシングの基本とも言える種目ですが、ここでは中央大学の永野雄大選手が躍進しました。安部慶輝選手との接戦を15対12で制し、見事な初優勝を飾っています。大学生らしい勢いのある剣捌きは、今後のフェンシング界に新しい風を吹き込む予感を感じさせます。
また、ダイナミックな斬撃が特徴の「サーブル」では、ストリーツ海飛選手が島村智博選手を15対13で撃破。2年ぶり2度目の頂点に返り咲きました。どの種目においても、2020年の東京五輪を見据えた激しい代表争いが繰り広げられており、選手たちの集中力は極限まで高まっています。今回の全日本選手権は、日本フェンシング界が黄金時代を迎えつつあることを証明する、歴史的な一日となりました。
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