世界をリードするタイヤメーカー、株式会社ブリヂストンから目が離せません。2019年11月1日付で発表された最新の人事異動と機構改革には、同社が描く次世代のビジネスモデルが色濃く反映されています。特に注目すべきは、デジタル技術を駆使して顧客の課題を解決する「ソリューション事業」への大胆なシフトでしょう。
今回の改革の目玉は「MAAソリューション戦略本部」における組織の刷新です。ここで使われている「MAA」とは、鉱山(Mining)、航空(Aviation)、農業(Agriculture)の頭文字を合わせたもので、同社が注力する生産財分野を指します。従来の製品単体を販売するスタイルから、現場の課題を解決するサービスへの転換が急ピッチで進んでいるようです。
ネット上の反応を見ると、「ブリヂストンのDX(デジタルトランスフォーメーション)の本気度を感じる」「単なるタイヤ屋からの脱却が凄まじい」といった驚きの声が上がっています。製造現場から戦略部門まで、これほど広範囲にわたる体制変更を行う背景には、激変する市場環境に対する強い危機感と、先を見据えた確固たる自信が共存しているのではないでしょうか。
デジタルと現場を融合させる戦略的人事の全容
具体的な人事では、2019年11月1日付で、畑正剛氏がデジタルソリューション推進およびMAA・ソリューション戦略本部長に就任されました。デジタル化の旗振り役を戦略の要所に配置することで、意思決定のスピードを一段と高める狙いが見て取れます。現場の要である各工場のリーダー陣にも、新たな風が吹き込まれています。
2019年10月22日付では、草野暁氏が熊本工場長および化工品製造本部長に就任し、さらに2019年11月1日には緒方智広氏が磐田工場長から熊本工場長へと移っています。後任の磐田工場長には山本祐宏氏が指名されました。生産拠点のトップを入れ替えることで、組織の活性化と技術の伝承を同時に狙うという、同社の層の厚さが伺える采配です。
一方で、素材開発の最前線でも大きな動きがありました。2019年11月1日付で「化工品先行材料開発部」が新設され、中村英二氏がその重責を担います。これは従来の部門を統合・再編したもので、次世代の付加価値を生み出すための研究開発体制をより筋肉質なものへと進化させる、戦略的な一手と言えるでしょう。
編集者としての私の視点では、今回の改革は単なる効率化ではなく「知の再編」であると感じます。複雑化する社会において、タイヤという物理的な接点から得られるデータをどう価値に変えるか。その答えを導き出すために、組織の壁を取り払い、専門性を融合させようとするブリヂストンの姿勢は、多くの日本企業のロールモデルになるはずです。
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