膨大なデータを瞬時に処理し、私たちの生活を劇的に変えつつある人工知能(AI)。「AIに仕事が奪われる」という不安の声を耳にすることも多いですが、現実は少し異なるようです。2019年11月27日の報告によれば、AIは単なる自動化ツールではなく、人類に莫大な富をもたらす新時代のエンジンとして期待されています。
米ディファインドクラウドを率いるダニエラ・ブラガ氏は、AIを賢く育てるための「教師役」を世界中から募っています。これは「教師データ」と呼ばれる、機械が学習するための正解付きデータを作成する仕事です。例えば長野県に住む跡部洋さんは、AIの教材作りを通じて月に数十万円の収入を得ており、こうした新しい雇用が世界中で急増しています。
SNS上では「AIの教育係という仕事は意外だった」「単純作業が減る分、人間らしい判断が求められる時代になる」といった前向きな反応が目立ちます。世界経済フォーラムの予測によれば、2022年までに機械化で失われる仕事がある一方で、それを上回る1億3300万もの新たな職が誕生し、雇用全体としては5800万人分も増加する見通しなのです。
産業革命を超えるインパクト?需要を掘り起こすAIの力
18世紀の産業革命が衣類のコストを下げて需要を爆発させたように、AIもまた、私たちの潜在的な「欲しい」という感情を可視化します。米マクドナルドでは、天候や時間帯に合わせてお薦めメニューを変えるデジタル看板を導入しました。1日6800万人分のデータを分析し、消費者が気づいていないニーズを先回りして提案することで、新たな購買を生んでいるのです。
コンサルティング大手のPwCは、AIによる生産性向上と消費者の満足度アップにより、2030年までに世界の国内総生産(GDP)が約1700兆円も押し上げられると試算しています。これは、AIが単なる効率化の道具に留まらず、経済のパイそのものを大きく広げる存在であることを示唆しています。まさに、データが価値を生む新経済の到来と言えるでしょう。
しかし、こうした劇的な変化は既存の経済統計では捉えにくいのが現状です。かつてコンピューターが普及した際も、統計上の生産性が向上するまでには長い時間を要しました。今、私たちは「モノ」の大量生産から「知恵やアイデア」が価値を持つ時代へと移り変わる過渡期にいます。技術の進化を正しく評価するには、まだ少しの時間が必要なのかもしれません。
未来を切り拓くための「人材育成」という課題
国連の予測では、2100年には世界の人口増加が止まるとされています。働き手が減り、機械が増え続ける未来において、最も重要になるのは「人間にしかできない付加価値」を創出できる人材の育成です。ソフトウエア開発のような専門技術はもちろん、営業や対面サービスといった「心の通う仕事」の重要性は、AI時代だからこそより一層高まっていくはずです。
編集者としての私見ですが、AIを「競合」ではなく「優秀なパートナー」として捉える視点が不可欠だと感じます。AIに任せられる部分は任せ、人間はよりクリエイティブな活動や共感を生む対人業務にシフトしていくべきでしょう。国や企業が古い教育の枠組みを捨て、この変化に対応できる柔軟な学びの場を提供できるかどうかが、日本の未来を左右します。
2019年11月27日、私たちは大きな時代の分岐点に立っています。AIがもたらす1700兆円という果実を手にするためには、私たち自身がアップデートし続けなければなりません。雇用が奪われることを恐れるのではなく、AIを使いこなして新しい価値をどう生み出すか。その前向きな思考こそが、明日を昨日とは違う輝かしいものに変えてくれるのです。
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