💥米中貿易戦争の余波で迷走!中国「大豆増産計画」の厳しい現実と農家の不信感

2019年6月26日現在、米中間の貿易摩擦が激化する中で、中国政府が掲げた「大豆増産計画」が大きな壁に直面しています。中国は2020年までに大豆の生産量を2018年比で2割増やすという目標を打ち出しましたが、その道のりは決して平坦ではないようです。なぜなら、主要な大豆調達先であるアメリカからの輸入量が、追加関税の影響で激減している状況を補おうとしているにもかかわらず、国内農家の協力が得られていないからです。政府が転作を促すための補助金の支給予定を一部地域で撤回するなど、一貫性のない政策運営が農家の間で強い不信感を招いてしまっているのです。

特に、中国の穀倉地帯であり、大豆生産の約4割を占める黒竜江省では、この問題が顕著に現れています。現地の農家からは「政府の支援策は方針がころころ変わり、信用できない」という憤りの声が上がっています。もともとトウモロコシを栽培していた30代の男性農家は、政府の説明会でトウモロコシなどの作物から大豆へ転作する農家に対し、667平方メートルごとに150元(当時のレートで約2,400円)の補助金が支給されると聞いて、土地の一部を大豆に切り替えました。しかし、3月になって同省でこの補助金が急に取り消され、すでに種や肥料を購入していたこの男性の収益計画は完全に狂ってしまったのです。

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🌽補助金撤回と収益性の壁:農家が「大豆」になびかない理由

中国において大豆は、豆腐などの食用だけでなく、油として調理に使われたり、搾りかすが家畜の飼料、つまりミールとして利用されたりする、国民生活に欠かせない重要物資です。その消費量は年間約1億トンと世界最大ですが、約9割を輸入に頼っているのが現状です。アメリカからの大豆輸入は、2018年7月にかけられた25%の追加関税の影響で、2019年1月から4月までの間に前年同期比で7割も減少しました。この窮状を打開するため、中国政府は3月に国内での増産方針を掲げ、2020年の作付け面積を約1割拡大し、生産量1900万トンを目指すと強調しました。

しかし、補助金が撤回されたり、あるいは2018年よりも減額されたりしたことで、農家の間で大豆への取り組みが鈍っています。57歳のハルビン市の男性農家は、「トウモロコシのほうが稼げるから、政府が何を言ってきても大豆をつくるつもりはない」と断言しています。これは、同じ面積で比較した場合、大豆の収穫量がトウモロコシの3割程度にとどまり、大規模農家でないと高い収益を上げにくいという根本的な問題があるためです。さらに、黒竜江省社会科学院の調査によると、同じ面積当たりの平均生産量、つまり単収がアメリカの約4割にとどまっており、中国の大豆生産は、大規模化や機械化の面で遅れをとっている実態も見過ごせません。

そのため、中国産の国産大豆の価格は、輸入大豆よりも約1割も高くなってしまう傾向にあります。製油メーカーなどの需要家にとっては、国産品を選ぶことはコスト増に直結してしまうのです。補助金の撤回や減額の背景には、政府が財政負担を懸念したとの見方が有力です。2019年の農林水産分野に投じる国家予算が、2018年から24%も減少していることも、この推測を裏付けていると言えるでしょう。業界関係者からは、目標である1900万トンを達成するためには、さらなる補助金の増額が必要不可欠だと指摘されています。

🔬技術革新だけでは解決しない「食料安全保障」という課題

もちろん、生産量増加に向けた技術的な取り組みがないわけではありません。中国の大豆研究所では、政府の助成金を投じて、枝ごとになる実が多く、従来品種の2倍程度の生産量が見込める新品種を開発するなど、アメリカとの「貿易戦争に負けない」という強い意志を示しています。しかし、農業農村省の韓俊次官が6月上旬に「国内需給を安定させる能力がある」と豪語したとしても、現場の農家が納得しなければ、机上の計画に過ぎません。

これは、国際情勢の変動に左右されない食料供給体制、すなわち食料安全保障という重要な課題が、中国にとって非常に厳しい局面を迎えていることを示しています。輸入への依存度が高すぎる現状を解消するためには、単に号令をかけるだけでなく、農家が安心して大豆生産に取り組めるような、具体的かつ一貫性のある、そして何よりも安定した財政支援が求められるはずです。政府と農家との信頼関係を回復し、収益性の低い大豆生産を魅力的なものに変えることができなければ、中国が目指す「脱・輸入依存」の道は、今後も険しいままでしょう。

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