精密加工装置の世界的メーカーであるディスコが、広島県の主力工場からアジア諸国へ製品を送り出す際の物流ルートとして、新たに北九州空港を本格活用する方針を固めました。2019年11月25日に北九州市で開催された航空貨物セミナーにて、同社の担当者がこの画期的な戦略を明らかにしています。
これまで同社は、広島県呉市に位置する桑畑工場や呉工場で製造された装置を、主に西日本の玄関口である関西国際空港から上海やシンガポールといった主要都市へ出荷していました。しかし、広域的な輸送網の効率化とリスク分散の観点から、地理的に近い北九州空港のポテンシャルに強い期待を寄せています。
災害時にも止まらない供給網の構築
今回の決断を後押ししたのは、2019年10月に日本を襲った台風19号の影響です。関空で欠航が相次ぐ中、ディスコは北九州空港からの緊急出荷を実施しました。その結果、工場を出発した翌日にはアジアの顧客のもとへ製品が届くという、驚くべきスピードと利便性を再確認することになったのです。
半導体業界では、製造装置のダウンタイムが莫大な損失に直結するため、一刻も早い納品が求められます。「北九州便を使えば関空の代替どころか、むしろメイン級の利便性がある」という事実は、SNS上でも「物流の強靭化(レジリエンス)を象徴する動きだ」と大きな注目を集めました。
ここで言うレジリエンスとは、自然災害などの予期せぬトラブルが発生しても、供給網が速やかに回復できるしなやかさを指します。ディスコのような世界トップシェア企業が、単一のルートに依存せず複数の選択肢を持つことは、企業の社会的責任を果たす上でも極めて賢明な判断だと言えるでしょう。
24時間運用が切り拓く九州・中国地方の輸出拠点
北九州空港の最大の武器は、何と言っても24時間運用が可能な点にあります。深夜・早朝を問わず離着陸ができるため、貨物のリードタイムを劇的に短縮できるのです。ANAカーゴが週5日でアジア4都市を結んでいるほか、2019年11月30日からは大韓航空による国際定期便の寄港も始まります。
この新たな定期便は、アメリカのロサンゼルスから韓国の仁川へと向かうルートの途中で北九州を経由するものです。これにより、北九州空港は九州・中国地方の輸出拠点として、ますますその地位を盤石にするでしょう。グローバル展開を加速させる日本企業にとって、こうした地方空港の活性化は非常に心強いニュースです。
個人的な見解としては、関空に一極集中していた物流が分散されることで、地域経済の活性化にも繋がると確信しています。ディスコの柔軟な決断が、他の製造業における物流戦略の見直しを促す「起爆剤」になることを大いに期待したいところですね。
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