2019年の流行語を予測するならば、間違いなく「男性の育休」がその筆頭に挙げられるでしょう。2019年11月1日、安倍晋三首相は男性国家公務員が1カ月以上の育休を取得できるよう、制度の構築を指示しました。自民党内でも専用のプロジェクトチームが発足し、国を挙げた大きなうねりが生まれつつあります。
現在の育休取得率は、女性が82%であるのに対し、男性はわずか6%に留まっています。「育児は女性が担うもの」という根強い固定観念が残る中、この状況を大きく揺さぶったのが小泉進次郎環境相でした。2019年8月の結婚発表、そして第1子誕生に合わせた育休検討の意向は、社会に大きな衝撃を与えたのです。
「進次郎流」が模索する新しい父親のカタチ
2019年9月11日の入閣直後、小泉氏は自身の育休検討への賛否について「検討すると言っただけで騒ぎになるのは、日本が古い証拠」と軽やかに語りました。しかし、その裏では三重県の鈴木英敬知事ら経験者にアドバイスを求めるなど、閣僚としての職責と父親としての役割を両立させる「進次郎流」の形を真剣に模索しています。
SNS上では「大臣が休むなんて無責任だ」という厳しい声がある一方で、「彼が休めば部下も休みやすくなる」「これこそが真の働き方改革だ」という期待の声が溢れています。影響力の大きさを自覚しているからこそ、彼は単なる休暇ではなく、社会の「空気」を変えるためのパフォーマンスを含めた戦略を練っているのでしょう。
そもそも、なぜ今これほどまでに男性の育休が叫ばれるのでしょうか。背景には、共働き世帯が一般化し、男性が家事・育児に参加しなければ家庭が立ち行かないという切実な現実があります。2018年の調査では、未婚男性の約6割が育休を希望しており、若者の意識は上の世代が想像する以上に変化しているのです。
少子化脱却の鍵を握る「男性の家庭進出」
政府がこの問題に熱心なのは、少子化対策としての期待があるからです。夫の家事・育児時間が長いほど、第2子以降が生まれる割合が高いというデータが鮮明に出ています。ここで重要なのが「男性の稼ぎ手モデル」からの脱却です。これは、夫が外で稼ぎ、妻が家庭を守るという従来の役割分担を指す専門用語です。
家族社会学の視点で見れば、出生率を回復させた北欧諸国は、女性が働くことを前提とした環境整備に成功しています。対して、日本やドイツなどは古いモデルに固執したため、少子化対策で出遅れました。今こそ、男性が育休を取ることをきっかけに、職場全体の働き方そのものをアップデートするタイミングに来ています。
私は、小泉氏には単なる「数日の休暇」で終わってほしくないと強く願います。40代の母親世代からは「子育てしやすい社会のために行動してほしい」という切実な願いも届いています。閣僚であっても副大臣との連携や、時間単位での取得など、柔軟なスタイルを示すことで、誰もが「自然体」で育児ができる社会を創れるはずです。
育児の大変さは、乳幼児期だけに留まりません。子供が成長し、精神的な支えが必要になる中高生まで、親の関わり方は形を変えながら続いていきます。「進次郎流育休」という特別な事例を超え、男性が育児に関わることが「当たり前」となる未来。2019年は、その輝かしい第一歩として記憶されることになるでしょう。
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