新潟市の万代島に位置する「ピアBandai」は、まさに食の宝庫と呼ぶにふさわしい活気に満ちています。ここでは、日本海で獲れたばかりの鮮やかな魚介類から、肥沃な大地が育んだ農産物、さらには芳醇な香りの地酒まで、新潟の誇る名産品が驚くほど手ごろな価格で一堂に会しているのです。地元の人々にとっては日々の食卓を支える大切な「台所」であり、訪れる旅人にとっては新潟の魅力を凝縮した「観光の拠点」という、二つの魅力的な顔を併せ持っています。
2019年10月下旬のある午前中、施設内にある「廻転寿司 弁慶」の前には、開店直後にもかかわらず驚くほどの行列ができていました。佐渡島からダイレクトに届けられる新鮮なネタを求めて、多くのファンが詰めかけています。このように鮮度抜群の食体験ができるスポットが、寿司店を含めて13店舗も軒を連ねているのがこのエリアの凄みです。農産物の産直市場や精肉店、さらには県内70もの酒蔵から選りすぐりの地酒が揃う専門店まで、歩くだけで心が躍ります。
SNS上では「新潟に来たらここだけは外せない」「回転寿司のレベルが異次元」といった絶賛の声が相次いでおり、写真映えする食材の豊かさが拡散されています。この場所は2010年に、卸売市場の跡地を有効活用しようと考えた地元の経営者たちによる「万代にぎわい創造」の手で誕生しました。地域の資産を眠らせることなく、新たな賑わいへと転換させた彼らの熱意が、現在の成功の礎となっているのは間違いありません。
世界が注目する美食の聖地へ!進化するおもてなしの形
近年、この熱気は国内にとどまらず、海外からのゲストにも波及しています。2019年4月に豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」が新潟港へ初寄港した際、乗船客約3800人を対象に行ったアンケートでは、なんと約1000人もの人々が「ピアBandaiを訪れたい」と希望しました。これに応えるべく、施設側はスマホ決済サービス「PayPay」を各店に導入し、英語や中国語、韓国語のパンフレットを完備するなど、受け入れ体制を急速に整えています。
筆者の視点から言えば、こうしたデジタル決済の導入や多言語対応は、単なる利便性の向上以上に「新潟の味を世界に伝えたい」という強い意思の表れだと感じます。言葉や文化の壁を越えて、美味しいものを共有しようとする姿勢こそが、真のインバウンド対策と言えるでしょう。地元の卸売市場というドメスティックな場所が、今や世界と繋がるフロントラインへと進化している様子は、地方創生の理想的なモデルケースとも呼べるはずです。
次の大きなマイルストーンとして見据えているのは、2020年の東京五輪・パラリンピックです。2020年4月からは、古町地区の花街文化や北方文化博物館といった歴史的なスポットと連携した、強力な観光プロジェクトが本格的に始動する予定となっています。単体での集客に甘んじることなく、新潟市全体を面で捉えて盛り上げようとする攻めの姿勢には、今後さらなる期待が高まります。
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