2019年11月29日現在、私たちの生活に欠かせない「段ボール」の原料となる古紙市場に異変が起きています。古紙問屋が回収業者から買い取る段ボール古紙の価格が、1キログラムあたり6円まで下落しました。これは前月よりさらに0.5円安く、実に2009年7月以来、約10年ぶりとなる歴史的な安値を記録しています。
この急激な価格下落の最大の要因は、日本の古紙の主要な輸出先である中国の動向です。SNS上では「資源ゴミとして出した古紙が活用されにくくなるのでは」といった不安の声や、「リサイクル業界の経営が心配だ」といった投稿が目立ち始めています。中国は厳しい環境規制を導入しており、海外からの古紙輸入枠を大幅に縮小しているのです。
ここで注目すべき「輸入枠」とは、政府が許可する輸入量の上限のことです。中国は環境対策に加え、米中貿易摩擦による景気減速が重なり、段ボールの需要そのものが激減しています。2019年1月から9月のデータを見ると、日本から中国への段ボール古紙輸出量は、前年同期比で4割も減少するという深刻な事態に陥っています。
さらに国内に目を向けると、相次ぐ台風などの天候不順が追い打ちをかけています。野菜や果物、飲料を運ぶための段ボール需要が落ち込み、さらには2019年10月の消費増税に伴う駆け込み需要の反動減も響きました。国内の倉庫には「荷余り感」が漂い、在庫量はすでに収容能力の8割近くにまで達しているとの報告もあります。
年末年始の「古紙発生量」増加でさらなる価格下落も?
今後の見通しはさらに不透明です。お歳暮などの贈答品が行き交う12月は、1年で最も古紙が発生する時期にあたります。市中に溢れる古紙がさらに在庫として積み上がれば、価格への下げ圧力は一層強まるでしょう。これまで物流費や古紙高騰を理由に値上げされてきた段ボール原紙の価格体系を、今のまま維持できるのかが大きな焦点となっています。
メディア編集者としての私の意見ですが、古紙のリサイクル循環は、経済の血液のようなものです。安値が続くことは一見、製品コストの低下に繋がるように思えますが、回収業者が採算割れを起こせば、日本の誇るべきリサイクルシステムそのものが崩壊しかねません。目先の数字だけでなく、資源循環をいかに維持していくかという視点が、今まさに求められているのではないでしょうか。
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