エチレン生産が12基フル稼働で増加中!2019年10月の実績と米中貿易摩擦が落とす影を徹底解説

私たちの身近にあるプラスチック製品の源流ともいえる、化学業界のバロメーター「エチレン」の動向に注目が集まっています。2019年11月29日、石油化学工業協会が発表したデータによれば、2019年10月の国内エチレン生産量は、前年の同じ月と比較して1.2%増加した55万9200トンを記録しました。この背景には、国内にある12基の生産プラントがすべて稼働を続けていたという力強い状況があります。

「エチレン」とは、原油から精製されるナフサを高温で分解して作られる基礎原料で、衣類や容器、家電製品など、あらゆるプラスチック製品の「生みの親」といえる重要な物質です。2018年10月には一部のプラントが定期修理で停止していましたが、2019年10月はそれらが一斉に稼働したことが生産量を押し上げました。SNS上でも「日本の屋台骨である化学産業がフル稼働しているのは頼もしい」といった期待の声が寄せられています。

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高稼働を支える現場と立ちはだかる自然の脅威

生産設備の稼働率は94.6%という極めて高い水準を維持しており、業界で活況の目安とされる90%の大枠を、なんと71カ月もの間連続で突破しています。しかし、実質的なフル稼働の基準とされる95%の壁は、惜しくも3カ月連続で下回る結果となりました。これには、2019年の夏を襲った記録的な猛暑や相次ぐ台風の直撃が、工場のオペレーションに微妙な影響を与えたことが要因として挙げられています。

2019年11月から12月にかけても定期修理の予定はなく、年間を通しての生産量は前年比4%増の640万トン前後に達する見込みです。私個人としては、自然災害という不可抗力に見舞われながらも、これだけの高水準を維持し続ける日本の製造現場の底力には、驚嘆せざるを得ません。現場の方々のたゆまぬ努力が、私たちの生活を支える素材供給を支えているのです。

米中貿易摩擦の冷風と今後の高付加価値化への挑戦

一方で、今後の見通しには慎重なムードが漂っています。世界経済を揺るがしている米中貿易摩擦の影響が、じわじわと日本の化学産業にも波及し始めているためです。主要5樹脂と呼ばれる、ポリエチレンやポリプロピレン、塩化ビニールなどの代表的なプラスチック素材の国内出荷は、内需の冷え込みを受けてすべて前年を下回りました。数字の上では生産が増えていても、実際に使われる「需要」が追いついていないのが現状です。

石化協の森川宏平会長は2019年を振り返る中で、世界的な経済減速という逆風を認めつつ、これからは単なる量産ではなく、より高性能で希少性の高い「高付加価値製品」への転換が必要だと強調しました。私は、この「高付加価値化」こそが、安価な海外製品に対抗するための唯一の道であると考えます。単なる素材メーカーから、課題解決型のクリエイティブな産業へと進化する、今がまさに正念場といえるでしょう。

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