アメリカのスタートアップ界隈では、今まさに「フィンテック」がかつてないほどの熱狂に包まれています。一部のシェアオフィス事業が苦戦を強いられ、新興企業の先行きを不安視する声も一部で上がりました。しかし、金融と最新テクノロジーを融合させたこの分野には、投資家たちの熱い視線と莫大な資金が途切れることなく注ぎ込まれています。
データ分析を手掛ける米CBインサイツの最新調査によれば、2018年のフィンテック関連の資金調達は、件数で2800件を突破しました。さらに驚くべきは、その総額が前年比でほぼ倍増となる460億ドルという過去最高の数字を叩き出したことです。伝統的な金融市場の壁を壊そうとする、若き企業たちの勢いは増すばかりでしょう。
1億ドル超えが当たり前?驚愕の「メガラウンド」時代
2019年に入り、資金調達の規模はさらなる巨大化を見せています。1回あたりの調達額が1億ドル(約110億円)を超える「メガラウンド」と呼ばれる大規模な取引が、すでに70件以上も成立しました。この巨額資金を元手に、スタートアップたちは既存の銀行や保険会社のシェアを急速に奪い取ろうと画策しているのです。
具体的な顔ぶれを見ると、個人向け融資を革新するソーファイが5億ドルを手に入れたほか、北欧発の決済サービスであるクラーナも4億ドル以上を確保しました。スマホ一つで株取引ができるロビンフッドや、AIを駆使した損害保険のレモネードなど、私たちの生活に密着したサービスを展開する企業が巨額の軍資金を得ることに成功しています。
ここで注目したいのは、これらの企業が単なる「デジタル化」に留まっていない点です。膨大なデータをAIで分析し、個々のユーザーに最適化された金融商品を生み出すそのスピード感こそが、投資家を惹きつけて止まない魅力なのでしょう。SNS上でも「既存の銀行より圧倒的に便利」という若年層の支持が目立っています。
全米に広がる「ユニコーン」たちの全貌
今回、CBインサイツが作成した「全米フィンテック・マップ」を分析すると、特定の地域に留まらない業界の広がりが見えてきます。2014年以降に500万ドル以上の株式資金を調達した未上場企業を対象にしたこの地図からは、95億ドルものマネーが全米各州のリーダー企業に流入している事実が浮き彫りになりました。
トップを走るのは、2019年12月13日時点で累計25億ドルの調達を記録したサンフランシスコのソーファイです。学生ローンの借り換えから住宅ローンまで幅広く手掛ける彼らは、もはや一企業の枠を超えた金融インフラになりつつあります。続いて医療保険のオスカーヘルスなど、企業価値が10億ドルを超える「ユニコーン」が8社も名を連ねました。
ここで言うユニコーン企業とは、伝説の生き物のように稀少で、莫大な成長可能性を秘めた未上場企業の呼称です。かつては夢物語だったこの存在が、現在の米国フィンテック業界では次々と現実のものとなっています。レストランの財務管理を支えるトーストや、売掛金を早期に現金化するC2FOなど、その業種も非常に多岐にわたります。
個人的な見解を述べさせていただくと、この勢いは単なるバブルではなく、金融の「民主化」が進んでいる証左ではないでしょうか。これまで複雑で不透明だった金融サービスが、テクノロジーによって透明化され、誰でも簡単にアクセスできる時代が到来しています。日本国内でも関心が高まる中、米国のこの潮流は今後の日本市場を占う重要な指針となるはずです。
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