富と女と権力の狂宴!パオロ・ソレンティーノ監督が描くイタリア政界の光と影『ローロ 欲望のイタリア』の衝撃

世界を熱狂させた映画『グレート・ビューティー/追憶のローマ』で、見事アカデミー賞外国語映画賞に輝いたパオロ・ソレンティーノ監督が、待望の最新作を世に送り出しました。2019年11月15日から日本で公開される『ローロ 欲望のイタリア』は、実在のイタリア元首相、シルヴィオ・ベルルスコーニをモデルにした衝撃作です。

本作で描かれるのは、メディアを支配し、莫大な富を背景に政界の頂点へ登り詰めた男の凄まじい執念でしょう。SNS上では、予告編の公開直後から「あまりの過激さに圧倒される」「イタリアの闇をここまで描くのか」といった驚きの声が次々と上がっており、映画ファンの間で大きな注目を集めています。

かつて「メディア王」として君臨したベルルスコーニは、たとえ政敵に敗れてもなお、虎視眈々と復権の機会を狙っています。そんな権力の亡者に近づくのが、若き実業家のセルジョです。彼は欲望に忠実なベルルスコーニの関心を引くため、美しい女性たちを集めて狂乱のパーティを企画し、自らの出世を賭けた危険なゲームを仕掛けるのでした。

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人間の本質を突く「頽廃」と資本主義への鋭い風刺

物語の核心にあるのは、単なるスキャンダルではありません。「頽廃(たいはい)」、つまり道徳が崩れ、不健全な快楽に溺れる社会の姿が克明に描写されています。作中では、金と性欲こそが世界を動かす原理であると信じ、人々を自在に操れると考える資本主義の権化たちが、皮肉たっぷりに描かれているのです。

ソレンティーノ監督は、持ち前の奔放な想像力を存分に発揮しました。スクリーンには極彩色の派手な映像が躍り、目まぐるしい編集が観客の視線を奪います。セックスや権力に狂うイタリア政財界の歪みを、これ以上ないほど鮮烈な色彩で叩きつける演出は、まさにこの監督にしか成し得ない職人芸と言えるでしょう。

この映画は、ベルルスコーニという個人の人間性を探りつつ、実は現代社会そのものに向けた強烈な風刺を内包しています。私たちが信じている価値観が、いかに脆く虚飾に満ちたものであるかを突きつけてくるようです。単なる伝記映画の枠を大きく超えた、文明批評的な側面を持つ傑作に仕上がっています。

愛を求める男の孤独と絶望が招く祝祭の終わり

権力の化身のような男ですが、物語は彼の意外な一面も浮き彫りにします。女好きで知られる一方で、実は妻の愛を失うことを恐れる孤独な顔を持っているのです。彼女の気を引くためにピエロのように振る舞う滑稽な姿は、権力者の内側に潜む虚無感を象徴しているかのようで、観る者の胸に深く刺さるに違いありません。

しかし、18歳の少女との醜聞が露呈したことで、家庭の崩壊は決定的なものとなります。私生活が破綻していく一方で、彼は政治的な策謀を巡らせ、ついに念願の政権返り咲きを果たします。栄光を掴んだかに見えたその瞬間、2009年4月6日に発生したイタリア中部地震という過酷な現実が、彼の王国を襲うことになります。

ラストシーンで描かれる、瓦礫の中から引き上げられるキリスト像は、フェリーニ監督の名作『甘い生活』を彷彿とさせ、聖と俗が混ざり合う深い余韻を残します。上映時間2時間37分という長尺を感じさせない圧倒的な映像美とデカダンスは、間違いなく2019年を代表する映画体験の一つとなるはずです。

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