私たちの足元で静かに、しかし確実にエネルギーを蓄える巨大地震。その脅威を事前に察知しようと、最新の科学技術を駆使した「地震予知」の研究が劇的な進化を遂げようとしています。電気通信大学の名誉教授である早川正士氏は、大地震が発生する数日前に生じる「電磁気的な異常」に注目し、命を守るための新たな可能性を切り拓いています。
SNS上では「もし事前に分かれば準備ができる」「オカルトではなく科学的な予知に期待したい」といった声が上がっており、関心は非常に高まっています。地震大国である日本において、予知技術の実用化はもはや国民の悲願といっても過言ではありません。2014年には専門家が集結し日本地震予知学会が設立されるなど、国内での研究体制も着々と整いつつある状況です。
電離層の乱れが教えてくれる「地震の予兆」
早川教授が取り組んでいるのは、上空約60キロメートル以上に広がる「電離層」の観測です。電離層とは、空気の分子が太陽からの紫外線などで電気を帯びた状態(電離)になっている層を指します。通常、この層は一定の安定した高さを保っていますが、巨大地震の発生が近づくと、地殻の歪みから発生したエネルギーが上空へと伝わり、電離層に乱れを生じさせることが判明してきました。
具体的には、電離層が通常よりも低い位置まで降りてくる現象が発生するのです。この変化を捉えるために利用するのが、超長波(VLF)と呼ばれる電波の伝播状況です。電離層の高さが変われば、その下を飛ぶ電波の到達時間も微妙に変化します。この「わずかな差」を精密に測定することで、地震発生の約1週間前という早い段階で異常を検知できる可能性が濃厚になってきました。
かつての予知研究といえば、地面の揺れや地殻の歪みといった物理的な変化を追うものが主流でした。しかし、早川教授が提唱する手法は「空」からのアプローチであり、これまでにない確度で予兆を捉えられると期待されています。実際に、2011年3月11日の東日本大震災や、2016年4月の熊本地震、さらには2018年9月の北海道での地震においても、その有効性が検証されました。
関東を拠点とした高密度観測ネットワークの構築
早川教授は現在、自身のベンチャー企業を通じてこの技術の実用化を急いでいます。特に、巨大地震の切迫性が指摘されている関東地方に、密度の高い観測網を敷くことが最優先の課題です。現在は国内5カ所にある観測施設を10カ所程度まで増設し、さらに地中から発せられる電磁放射を測定する装置も数カ所に配置する計画を立てています。
空と地中の両面から電磁気異常を監視する「複合システム」こそが、ピンポイントでの予知を成功させる鍵となるでしょう。教授は地域の有力企業などにも協力を呼びかけ、民間レベルでの観測拠点の拡大を目指しています。官民が一体となってデータを蓄積する体制が整えば、地震予知が「夢の技術」から「当たり前のインフラ」に変わる日はそう遠くないはずです。
個人的な意見を述べさせていただきますと、現在の日本において「地震は予知できない」という諦めの風潮が強いことに危惧を覚えます。しかし、2019年11月15日現在の最新科学が示す成果は、希望に満ちたものです。フランスや中国が地震観測用の人工衛星を打ち上げるなど、世界がこの分野に注目する今、日本が培ってきた電磁気観測の知見を最大限に活かすべきでしょう。
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