医療の世界に新たな希望の光が差し込んでいます。信州大学と、新薬の開発に不可欠な「非臨床試験」を専門とするイナリサーチが、包括的な連携協定を締結したことが2019年11月12日に発表されました。この強力なタッグにより、次世代のがん免疫療法として世界中から熱い視線が注がれている「CAR-T(カーティー)療法」の社会実装に向けた動きが、一気に加速することになるでしょう。
今回の提携の目玉は、長野県伊那市にあるイナリサーチの本社内に新設された「信州大学遺伝子・細胞治療研究開発センター イナリサーチラボ」です。大学が学外にこうした拠点を設けるのは信州大学にとって初の試みであり、産学連携の新しい形としても非常に意義深い一歩だと言えます。ネット上でも「地方から世界を救う技術が生まれるのは素晴らしい」といった、期待に満ちた声が数多く上がっているようです。
がん細胞を狙い撃つ!CAR-T療法の驚異的な仕組み
そもそも「CAR-T療法」とはどのような治療法なのでしょうか。これは、患者さんの体から取り出した免疫細胞(T細胞)に、がんを効率よく攻撃するための人工的な遺伝子(CAR)を組み込み、再び体内に戻すという画期的な手法です。いわば、自らの免疫システムに最新のレーダーと武器を装備させて、がん細胞をピンポイントで追いつめる「最強の部隊」を作り上げるようなイメージだと考えると分かりやすいかもしれません。
信州大学の中沢洋三教授らが開発を進めている技術は、従来の製薬プロセスと比較しても、極めて安全性に優れ、かつコストを抑えられる点が大きな特徴です。現在、血液がんだけでなく、治療が難しいとされる固形がんへの応用も研究されており、もし実現すれば、がん治療の選択肢は劇的に広がることでしょう。こうした革新的な試みは、私たち一般市民にとっても非常に心強く、一刻も早い実用化が待たれるところです。
サルによる高度な検証が切り拓く医療の未来
研究の現場において、マウスで成果が出てもヒトへの適用には大きな壁が立ちはだかります。中沢教授は「ヒトに近いサルでの安全性確認が、製薬会社を動かす大きな鍵になる」と語っています。そこで重要になるのが、カニクイザルを用いた高度な試験技術を持つイナリサーチの存在です。同社は、国際的な動物福祉の認証も受けており、倫理的な配慮と科学的な厳密さを両立させている信頼の厚い企業です。
2019年10月31日に挙行された開所式にて、信州大学の浜田州博学長は、この施設が世界の遺伝子治療をリードする存在になることへの強い期待を表明しました。単なる一地域のプロジェクトに留まらず、日本全体のバイオテクノロジーの基盤として、国内外の大学や企業からの依頼を受け入れる方針も示されています。このように、オープンな研究体制を構築することは、停滞しがちな日本の創薬分野に活気を取り戻すきっかけになると私は確信しています。
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